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2022年07月29日
性被害・セクハラ
髙坂 明奈

AV出演被害防止・救済法が成立! ~新法のポイント~  【弁護士 髙坂 明奈】

令和4年6月15日、アダルトビデオ(AV)の出演被害を防止し、出演者を救済するための新法が参院本会議で可決、成立しました。

AV出演強要被害

この法律が成立する背景には、AV出演強要被害という深刻な社会問題がありました。アイドルになりたくてタレント事務所に所属し、仕事が決まったと言われたら、AVの仕事だった。写真のモデルになってほしいと言われスカウトされ、ヘアメイクをし、撮影が始まるとAVの撮影だった。言葉巧みにAV出演の契約書にサインをさせられ、撮影当日に断りたかったが断ると違約金が発生すると言われ断れなかったなど、態様は様々です。また、撮影自体が過酷で、何時間にも及ぶ説明にはなかった行為を強要され、しかもその映像が半永久的に普及するという事態に耐え切れず、PTSDを発症したり、自殺をした女性もいます。

当事務所でもこの問題に取り組み、私自身、出演を強要された動画の販売や配信を止めたいという女性の代理人として、動画の配信先と交渉を行ってきました。これまで、未成年者の契約の取消権(両親など法定代理人の同意を得ない契約は取り消すことができる)が確実な被害救済手段でした。しかし、民法が改正され、本年4月1日に成人年齢が引き下げられることとなり、これまで救済されていた18歳・19歳のケースに未成年者取消(民法5条)を適用することができない事態となりました。そこで、新たな法律の必要性が叫ばれ、今回の新法の成立となりました。

新法のポイント

新法のポイントは以下のとおりです。

①事業者は、契約締結時には、契約書等を交付し、契約内容について詳細に説明する義務がある。

②契約してから1カ月は撮影してはいけないこと、撮影時には出演者の安全を確保すること、撮影や嫌な行為は断ることができること、公表前に事前に撮影された映像を確認できること、すべての撮影終了後から4カ月は公表してはいけないことを事業者に義務付けている。

③出演者は、撮影時に同意していても、公表から1年間(法の施行後2年間は「2年間」)は、性別・年齢を問わず、無条件に契約を解除できる。

④出演者は、契約がないのに公表されている場合や、契約の取消・解除をした場合は、販売や配信の停止などを請求することができる。契約を解除しても、出演者は損害賠償責任を負わない。

⑤契約解除を妨害するための不実告知や威迫、困惑行為には3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金を科す。

残された課題

今回の新法成立によって、18歳・19歳に限定せず、全ての年齢の被害救済が可能となりました。これは画期的なことです。また、出演者が撮影内容や映像公表によるリスクについて熟慮する時間を確保するため、契約成立から撮影まで1カ月、撮影から公表まで4カ月の期間を置くことを義務付けていることは、クーリングオフの期間と比較しても手厚い保護であることは明らかです。他方、新法において、AVを「性行為映像制作物」と定義したことで、「金銭の授受を伴う契約によって性行為を行うことを合法化しているのではないか」という批判もあり、この点については、2年以内の検討事項とされています。

日本は国際的にみて、ポルノ大国と呼ばれています。多くの人が性を消費する裏で、搾取されている人がいます。新法の成立をきっかけに、AV出演強要被害以外にも様々なポルノ被害があることについて議論がなされることを望みます。

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