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2022年07月29日
仕事・労働性差別・ジェンダー

リレーエッセイ No.42 女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める 意見書を大阪府の全議会で採択  ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN) 共同代表 石田 絹子(いしだ・きぬこ)

住友電工・化学・金属で働く女性たち9人が同期同学歴の男性に比べて月額20万円以上も賃金が安いという賃金差別の是正を求めて提訴したのは1995年、この裁判をサポートするためにワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)が立ち上がりました。

裁判は2000年7月にまず住友電工で判決があり、「大きな格差があり、憲法14条の趣旨に反するが、企業には営業権、財産権があり、非効率な女性を補助職コースに就けたとしても違法ではない」として全面敗訴でした。大きな失意の中で私たちの希望の星になったのは、1999年に国連で採択され、ちょうどこの年の12月に発効した女性差別撤廃条約選択議定書でした。

ジュネーブでCEDAW(国連女性差別撤廃委員会)委員のショップ・シリングさんに会ったとき「私たちも使えますか」と聞くと、「批准しないと使えません。批准するよう政府に働きかけてください」と言われました。2006年までに、住友裁判は高裁でCEDAWからの勧告に沿ったすばらしい和解勧告などで勝利和解しましたが、その後も男女差別裁判は最高裁で棄却が続いています。国内であらゆる手だてを尽くしてもなお解決されない差別を、個人として国連CEDAW委員会に直接通報できる選択議定書の批准がどうしても必要です。

日本政府は1999年に国連での採択には賛成したものの2022年の現在まで批准していません。政府回答は「検討中」の繰り返しで、この閉塞状態を打ち破るために2019年、「女性差別撤廃条約実現アクション」が立ち上がりました。全国61団体からなるこの共同体にWWNも参加し、地方議会で批准を求める意見書を採択する重要性を知りました。コロナ禍のもとZOOM会議が開かれたことも全国の動きを知るきっかけにもなりました。富山では16の女性団体が結集して富山県議会で意見書を採択したことに学び、大阪でもと2020年3月、WWNの呼びかけで「女性差別撤廃条約実現アクション大阪」を立ち上げ、現在14団体が参加しています。

意見書はまず自分の住んでいる地元議会からと考え、議会のHPを検索して議員の電話番号を調べ、アポとりから始めました。なかなか電話に出てもらえず夜討ち朝駆けでしつこく架けて約束をとりました。議会の全会派を順次訪問し、リーフレットを開いて詳しく説明して議会に提案してほしいと訴えました。

「やっぱり大阪府議会で採択や」と思いましたが、88議席のうち49議席が維新という大阪府議会にどうやってアプローチするかが大きな悩みでした。実は以前に、意見書を採択した地方議会の一覧表を見て、2001年に日本で初めて意見書採択をしたのが堺市だったことを発見、これをまとめた自民党の堺市議を訪問したことから交流があり、自民党の府議会副議長を紹介してもらって訪問しました。ちょうど森オリンピック会長のセクハラ発言の真っ只中で、どの議員も「男女平等は当たり前、日本は遅れている」として、2021年3月、自民・公明・維新の賛成があり全会一致で採択されました。その後、自民党大阪府連は府内の議会でこの意見書の採択を進めるようにという通達を出し、大きな後押しとなりました。

2021年6月議会で10議会、9月議会で9議会、12月議会で12議会、2022年3月議会で残り5議会で採択され、大阪府内の44全議会での採択となりました。40議会では全会一致で採択されています。大阪府の地図に採択できた市町村を色塗りし、だんだん白い市町村が減っていくのを議員に示すと、「なんでうちは最後やねん」と言われた議会もありました。大阪府の北の端から南の端まで、夏の炎天下もみぞれ降る日も議会行脚の2年間、各議会事務局の方にお世話になりました。

3月現在、全国の地方議会155議会で意見書が採択されています。6月2日の外交防衛委員会で鈴木防衛副大臣は「地方自治体の意見書はその地域の住民の代表からの意見であり、大変重いもの、貴いものだと受け止めている」と述べています。このうねりが加速度的に全国に拡がって選択議定書の批准が早期に実現できることを願っています。

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