無戸籍問題について  【弁護士 角崎恭子】

2017.01.11

【無戸籍の最大の原因は「嫡出推定」にあり】

日本には、戸籍制度があります。住民登録とは別に、戸籍制度を有している国は、現在ではほとんどなく、戸籍制度の是非については、様々な議論があります。

子どもが生まれると、親は、医師や助産師から出生証明書をもらいます。それを添えて役所に出生届を提出すると、その子の戸籍が編成されます。日本人であればすべての人が有しているはずの戸籍ですが、無戸籍の方が、全国で数百人にも及ぶと言われています。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。一番大きな原因は、民法772条の「嫡出推定」の規定にあります。

この規定は、婚姻の成立の日から200日を経過した後、または、婚姻の解消や取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する、という規定です。つまり、離婚する前、あるいは、離婚直後に、(元)夫以外の男性の子を妊娠して、離婚から300日以内に出産すると、その子は、法的には、離婚した元夫の子どもであるとされるのです。そのため、通常通りに出生届を提出すると、元夫の戸籍に、元夫の子どもとして戸籍が編成されます。姓も、夫の姓を名乗ることになります。もちろん、既に離婚していますので、親権者は母になりますが、子に、母の姓を名乗らせるためには、別途法的手続きが必要です。

元夫の戸籍に記載されるため、元夫にも、子どもが生まれたことを知られる危険がありますので、例えば、元夫によるDVで離婚した場合等、元夫との接触を避けたい場合や、真の父は別にいるのに、事実と異なる戸籍が編成されることに躊躇を感じる場合等には、出生届を提出できないという事態に陥ることが少なくありません。出生届を提出することができないと、住民登録もできませんので、様々な行政サービスを受けることができませんし、健康保険にも加入できません。就学も困難になってしまいます。では、どうすれば、真実に合致した戸籍を編成することができるのでしょうか。

先ほど述べた、772条の「嫡出推定」の及ぶ場合、本来であれば、子の父とされる元夫から、嫡出否認の訴えを提起する必要があります。元夫と、最低限の協力ができる場合にはよいのですが、元夫には、子の誕生自体を知られたくないと思うことが多いはずです。

そのようなときは、まず、元夫が、長期の海外出張・受刑・完全な別居等で、子の母と全く性的交渉がなく、元夫の子を妊娠する可能性が全くないことが客観的に明白であることを立証する必要があります。そして、真の父の協力が得られる場合には、真の父から、認知の調停を申し立ててもらい、法的に、真の父を子の父と確定します。

 

【まずは、ご相談を】

無戸籍となる場合は、他にも、自宅で出産したために、医師や助産師から出生証明書がもらえず、出生届の提出の仕方が分からなくなってしまった場合等、様々なケースがあります。このような場合には、そもそもその子の母が誰なのかということも客観的には分からないということになりますので、まず、母子で、親子関係存在確認の調停等を行い、母子関係を確定します。もし、その子が、「嫡出推定」を受けるのであれば、その後、上記の手続きを取ります。

非常に時間がかかるように思われるかもしれませんが、法的手続きを取ると、裁判所から、事件の係属証明をもらうことができ、役所に提出することで、住民登録を行ってもらえます。

離婚のタイミングや背景事情により、取りうる手段は分かれますが、法務局も、無戸籍の問題に取り組んでいますので、どのような場合であっても、戸籍を編成することは可能なはずです。諦めずに、ぜひ、弁護士にご相談ください。

事務所紹介

事務所紹介
女性共同法律事務所
所在地
大阪市中央区大手前1-4-2 都住創大手前505
業務時間
平日9:00~17:30
電話・FAX
TEL 06-6947-1201 FAX 06-6947-1203
定休日
土・日・祝日・お盆・年末年始
アクセス
大阪市営地下鉄谷町線・京阪電鉄「天満橋駅」
1番出口から東へ徒歩5分
JR東西線「大阪城北詰駅」2番出口から西へ徒歩10分
駐車場はございませんので近隣のコインパーキングをご利用ください。
大きな地図を見る»
お問い合わせ・ご予約
ページトップへ