憲法24条改正にストップ、家族ってなんだ?  【弁護士 髙坂明奈】

2017.07.26

24条が定めていることとは

憲法24条が、今、ひっそりと、こっそりと改正されようとしているのをご存じだろうか? そもそも、憲法24条に何が規定されているのか知らない人は多いと思う。法学部の学生ですらもしかすると知らないかもしれない。私が大学生の頃、憲法の授業は「人権」と「統治」に分かれていたが、「人権」の授業で24条について教わった記憶がない…。24条は、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めている。

 

<現在の憲法24条>

第1項 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

第2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

<自民党改正草案>

第1項 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

第2項 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

第3項 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

国の関心は女性が子どもを産み、家族で育てること

家族とは「夫婦とその血縁関係者を中心に構成され、共同生活の単位となる集団」(「大辞泉」より)である。家族を前面に出し、「尊重」するということは、夫婦になること、すなわち、結婚することを礼賛することにつながる。

なぜ、家族を前面に出し、結婚を礼賛する必要があるのか? 上野千鶴子氏は、「社会が若い男女の結婚に関心を持つのは、実のところ子どもを産んでほしいからだ。日本では結婚と出産がつよく連動しているために、結婚すれば子どもを産んでくれる。反対に、結婚しなければ産みたくても産めない状況がある。この国では、男に所属しない女は、子どもを産み育てる自由がないも同然だ。」(上野千鶴子・水無田気流『非婚ですが、それが何か!?  結婚リスク時代を生きる』ビジネス社・2015年より)と述べている。

国の関心は、少子化によって富が減少することだ。それゆえ、女性に子どもを産んでもらい、そして、家族で助け合って育てて欲しいのだ。4年前、安倍首相は、子どもが1歳半になるまで認められている育児休業を3歳まで延ばし、待機児童をゼロにするのだとスピーチをしている。その実は、0歳から3歳という保育コストが高くつく間の育児支援を回避したいから、家族で助け合って乗り切ってねということだと思う。

 

「のみ」の削除は介入の気配

これまで、森前首相が、「赤ん坊を一人も産まない女性が、自由を謳歌し、年を取って『税金で助けて下さい』というのはおかしな話だ」と言ったり、柳澤元厚労相が「女子は産む機械」と言ったり、塩村都議に「早く、結婚したらいいじゃないか。」「産めないのか。」というヤジが飛ばされたりしたことを合わせて考えると、改正草案は、家族を礼賛し、このような不適切な発言をする政治家を擁護し、家族を持たない人に対して、社会的に不適格であるという烙印を押すことにつながらないかと強い不安を抱く。

現在の憲法24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」するとしており、家族に関する決定権(憲法13条が保障する婚姻・離婚・妊娠・出産・堕胎の自由)を具現化し、婚姻に関する決定権について、国家の介入を排除している。

しかし、改正法案は、「両性の合意のみ」の「のみ」をしれーっと削除しており、介入の気配を伺わせるものとなっており、女性が自己決定を否定された家制度(明治民法では家族の長が家族を統率し、家族はみな戸主の命令監督に服す、女性は父、夫、子(長男)へ従うこととされた。)への回帰を伺わせる。理想は、シングルでもカップルでも、子がいようといまいと、個人が自由に生き方を選択し、安心・安全に生活できる社会だ。憲法24条改正には強くNOと意思表示をしたい。

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