リレーエッセイNo.34                         刑法性犯罪改正を目指して                       -一般社団法人Spring 代表理事 山本 潤-

2018.08.30

■ 驚きの相談

パソコンを開いて、性暴力関連の情報を検索していた時のことです。

あるサイトで、「いとこが小学生の時に強姦をしてしまいました。もう時効になっていますが相手から告訴とかされても知らん顔していていいのでしょうか。その時自分は成人でした」という相談が掲載されていました。

弁護士からの答えは「民事の賠償責任は負う可能性があります。刑事事件は公訴時効が成立しています」でした。

相談にも回答にもショックを受けましたが、それ以上に加害者がわかっていても時効によって守られる日本の法律に驚愕しました。

https://www.bengo4.com/c_1009/b_507053/

 

■ 諸外国の法律

その後、先進国の法律を調べました。アメリカは州によって異なりますが第1級性犯罪の場合時効なし。イギリスも性犯罪は時効なし。フランスや韓国は被害者が成人になるまで時効を停止。ドイツは「児童の性的虐待の被害者のためのコールセンターに問い合わせた人の平均年齢が46歳だったことから時効を満30歳まで停止」(刑事司法ジャーナル2015-vol.45,p,100)その後20年間訴えられるようにしています。

 

■ 積み残された課題

昨年6月、日本の刑法性犯罪が110年ぶりに大幅に変更されました。しかし、上記の時効の問題、13歳以上ならば暴行脅迫に抵抗したことを示さなければならないこと、抵抗できないほどの暴行脅迫がなければ訴えが難しいという高いハードルであることなど、多くの課題が積み残されています。

 

■ 3年後のチャンスを生かすために

今回の改正では、「3年を目処として(中略)必要があると認めるときは所要の措置を講ずる」という附則がつきました。つまり、2020年前後に法律の見直し議論を始める可能性があります。このチャンスを逃したら、積み残された課題の解決は110年後かもしれない。私たちは昨年7月7日一般社団法人Springを設立し、刑法性犯罪改正に向けた活動を展開しています。

 

■ 1年間の取り組み

刑法性犯罪はどのようにして改正されるのでしょうか?

法務省は、3年後の見直しは調査や判例を判断して決めるとのこと。もし、見直さないと判断されれば、3年後の見直しの議論は始まりません。

そのため、私たちは性暴力の実態がわかる調査の実施、現状の把握を各省庁に求めました。この時、民間団体が質問するよりも、国会議員が開催する議員連盟の総会や各党の法務部会のヒアリングの場で各省庁に回答を求めた方が、確実な答えが返ってきます。

Springは4月に自民党司法制度調査会、5月に公明党法務部会のヒアリングに参加し、各省庁が把握している性犯罪・性暴力の取り組みについて回答を得ました。

また、毎月2回ロビイングに行き、刑法性犯罪に関連した質問ができる国会の法務委員会に所属する議員に面談しました。国会での質疑応答は議事録に残り、次のステップのための足がかりになります。今年の通常国会では公明党若松謙維議員、共産党仁比聡平議員が性犯罪・性暴力の調査や取り組みについて質問をしてくれました。

さらに、性暴力被害者支援に長年尽力してきた様々な団体と緩やかなネットワークを作り、12団体が所属する「刑法性犯罪改正市民プロジェクト」も立ち上がりました。

 

■ 今後の要望

刑法性犯罪が改正されるためには、法務大臣が見直しを指示する必要があります。その後、法務省が刑法学者などの法律家を招集し、検討会や法制審議会という議論の場を設けます。

私たちが、何より重要だと思っているのはこの議論の場に性暴力の実態を知っている専門家、そして当事者を入れてほしいということです。

 

■ #OneVoice

法律を改正する議論の委員を決めるのは法務省です。しかし、彼らも世論の高まりを無視することはできません。

加害者が、被害者が性行為に同意していると誤解したら無罪になる。

性犯罪のハードルがあまりにも高いので、知人と飲食した際意識を失いレイプされても「よくあることだから捜査は難しい」と警察官から言われてしまう。

私たちはこの状況を変えたいと思っています。そのために、性暴力の問題を伝え、市民一人一人の声を届けるOneVoiceキャンペーンを展開しています。その声を議員や省庁に届け、変革を目指します。

 

■ 皆様へのお願い

□ ロビイングには1回1万円かかり、Springは毎月赤字ラインぎりぎり。正会員になり応援してください。

【Spring会員のご案内】

https://drive.google.com/file/d/0B8iHkuiQu-VhMFMwcExweEJrLWc/view

□ 私たちの活動をシェアしてください。

【Springブログ】

https://ameblo.jp/spring-voice-org/

□ 性暴力をめぐる様々な情報を知ってください。

【yahoo!性犯罪】

https://follow.yahoo.co.jp/themes/06529cb43ad02a494335

 

Springはこれから、日本全国に活動を広げ、同じ思いを持つ人々と日本の刑法性犯罪改正を目指します!

応援どうぞよろしくお願いいたします。

-山本 潤著-

 『13歳「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版 2017)

https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18818

事務所紹介

事務所紹介
女性共同法律事務所
所在地
大阪市中央区大手前1-4-2 都住創大手前505
業務時間
平日9:00~17:30
電話・FAX
TEL 06-6947-1201 FAX 06-6947-1203
定休日
土・日・祝日・お盆・年末年始
アクセス
大阪市営地下鉄谷町線・京阪電鉄「天満橋駅」
1番出口から東へ徒歩5分
JR東西線「大阪城北詰駅」2番出口から西へ徒歩10分
駐車場はございませんので近隣のコインパーキングをご利用ください。
大きな地図を見る»
お問い合わせ・ご予約
ページトップへ