女性に対する支援の枠組みについて  【弁護士 角崎恭子】

2019.01.24

1 根拠となる法律はさまざま

 

女性が、家族から暴力の被害を受ける等して、それまでと同じ環境で生活できなくなった場合に、どこで、どのような支援が受けられるか、その枠組みをご存知でしょうか。「シェルター」という言葉を聞いたことがあっても、根拠となる法律までご存知の方は少ないのではないかと思います。

身を守るための大切な制度が、なぜ知られていないのか。その理由は、根拠となる法律が多岐にわたり、定め方や基準に差があるからです。例えば、配偶者による暴力から避難する場合には、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」が根拠となりますし、18歳未満の子どもが虐待にあった場合には、児童福祉法により一時保護がなされます。その他、ストーカー被害にあった場合や、高齢者、障害のある方については、それぞれ別に法律が定められています。

では、それらの個別の法律の対象にならない女性は、どのような法律によって保護されるのか。答は、売春防止法です。売春防止法は、昭和31年に制定され、生活困窮等により、売春によって生計を立てざるを得ない女性、あるいは、そういった状況に陥りそうな女性の生活環境の改善を図るために、婦人相談所の業務の1つとして、「要保護女子の一時保護を行うこと」(売春防止法34条3項3号)を定めています。

現在では、婦人相談所の業務は拡張され、広く、暴力や性被害にあった女性の支援を行っています。18歳以上の女性が親からの虐待を受けた場合や、女性が、子どもから、あるいは、きょうだいその他の家族から暴力の被害を受けた場合にも、生活の場を失えば、売春防止法により一時保護を受けることが可能です。ですが、同法の制定時に想定されていた範囲を大きく超え、さまざまな女性を対象とすることには、無理も生じているのが現状です。

 

2 想定した支援が受けられない例も

 

DV防止法や売春防止法を根拠として、女性が一時保護を受ける場合、多くは、婦人保護施設や、委託を受けた児童福祉法上の施設等に入所します。これが、いわゆる「シェルター」です。シェルターに入所した女性は、支援を受けながら、将来の生活を考え、生活の場を設定します。

自分自身で就労し賃貸住宅を借りる方、実家等に身を寄せる方、生活保護を受給して賃貸住宅を借りる方、生活保護法上の施設に入居する方、婦人保護施設で中長期的な支援を受ける方、子どもと一緒に児童福祉法上の施設に入所する方等、いろいろな方がおられますし、生活の場として、通勤・通学が可能な施設にも、多くの種類があります。暴力等の被害にあった後は、体調不良以外にも、それまで普通にできていたことができなくなってしまったり、不安や無力感が強く出てしまったりといった症状が出ることも多く、施設への入所を選択される方も大勢おられます。

ただ、入所できればどの施設でもよい訳ではありません。根拠となる法律が異なれば、その法律の目的や対象によって、入所者が受けられる支援の種類や、その施設の中で可能な活動等が異なります。想定していた支援が受けられない、あるいは、受けられるはずの支援を知らないまま困難が解消されない等ということも生じ得ます。児童福祉法と生活保護法では、確保される部屋面積にさえ差があります。

上記のような問題を解消するため、売春防止法の改正や女性に対する総合的な支援を定める法律の制定が、厚生労働省等でも検討されています。

私が所属する大阪弁護士会の貧困・生活再建問題対策本部内の女性と子どもの貧困部会でも、2018年12月11日に、立命館大学産業社会学部の丸山里美先生をお迎えし、弁護士や支援者らを対象に、「支援からこぼれ落ちる女性たち―見えない女性の貧困―」という研修会を開催します。ニュースレターがお手元に届く頃には、この研修は終了していますが、私達も、改めて、各制度への理解を深め、支援に当たる弁護士が留意すべき点等を学びたいと思っています。

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