コロナ危機の今こそ、女性の権利を国際基準に!選択議定書の批准を!  【弁護士 宮地光子】

2020.08.19

日本の男女平等度は153カ国中121位

 

「特別定額給付金」の受給権者は「世帯主」、そしてマスクすら「世帯」に2枚と、どこまでも「世帯」にこだわり、そのマスク2枚を送るのに、どれだけの時間がかかったことか。他方で「持続化給付金」事業は、電通に再委託され、しかも巨額の委託費について、中抜き疑惑が浮上している。つくづく日本のコロナ危機対策のお粗末さ加減に、ため息をつきたくなる。

他方で、世界に目を向けると、コロナ危機への対処で、国民の信頼を得ている国のリーダーに女性が多いことが話題になっている(小島慶子「コロナ危機下で存在感が高まる女性リーダー」日経Aria2020.6.5)。ニュージーランド、台湾、ドイツ、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、デンマークなどである。

これらの国のリーダーに女性が選ばれる背景には、男女平等度の高さがある。2019年に、世界経済フォーラムが発表した世界主要153カ国でのジェンダーギャップ指数の順位(上位ほど男女格差が少ない)をみると、ニュージーランド(6位)、ドイツ(10位)、フィンランド(3位)、アイスランド(1位)、ノルウェー(2位)、デンマーク(14位)となっている(台湾の2019年時点での順位は明らかでないが、2016年時点で、144カ国中38位)。

しかし日本は、2006年に79位だったジェンダーギャップ指数を、2019年には、121位にまで落としている。

こんな日本の遅れた状況を変えようと、「女性差別撤廃条約実現アクション」の呼びかけで、本年6月20日、「コロナ危機の今こそ、女性の権利を国際基準に!選択議定書の批准を!」と題したオンライン集会が開催され、約120名が参加した。

「女性差別撤廃条約実現アクション」は、女性差別撤廃条約の「選択議定書」の批准を目標にした共同行動のためのネットワークである(52団体が参加。私が担当した男女賃金差別裁判を契機に結成されたWWN[ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク]も参加している)。

集会では、林陽子弁護士・前CEDAW(女性差別撤廃委員会)委員長の発言、浅倉むつ子共同代表の報告のあと、立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社民党、無所属の各国会議員の連帯の決意表明を受けて、参加団体からのリレートークが続いた。私が担当した男女賃金差別事件の元原告・長迫忍さんは広島から、同じく元原告の本間啓子さんは富山から、それぞれオンラインで、選択議定書の批准を求める熱い思いを語った。

 

政府が選択議定書の批准を拒む理由

 

女性差別撤廃条約は、女性の権利の国際基準を定めたものだ。しかし裁判所は、条約批准前の差別には、条約は適用されないと判断したり、全く条約を無視したりと、条約の適用について、ずっと消極的な姿勢をとってきた。その一因として、日本は、女性差別撤廃条約を批准しても、「選択議定書」を批准していないことがあげられる。

「選択議定書」は、女性差別撤廃条約に実効性をもたせるために国連で採択されたもので、この「選択議定書」を批准すると、批准国の個人は、自国の裁判手続きを、すべて尽くしても救済されなかった場合に、国連のCEDAW(女性差別撤廃委員会)へ、直接、通報することが可能になる(個人通報制度)。

女性差別撤廃条約の締結国189カ国中114カ国が、「選択議定書」を批准しているが、日本はいまだに批准していない。日本政府は、「選択議定書」を批准すると「司法権の独立を含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがある」として、批准に消極的な姿勢を取り続けてきた。

しかしオンライン集会では、日本共産党の井上哲士参議院議員から、本年3月の国会で、同議員が、「女性差別撤廃委員会において、国内判決とは異なる見解が出された場合でも、見解には、法的拘束力はないから、司法制度を変える必要はないのではないか」と質問したのに対し、法務省も「司法制度を変える必要はない」と明言したことが報告されていた。

選択議定書を批准しても、日本の司法制度を変える必要がないのであれば、選択議定書の批准を拒む理由はない。 しかし法的拘束力がないとはいえ、日本政府は、日本国内の具体的な男女差別について、国連の機関で、国内判決とは異なる法的見解がだされた時の「世論」が怖いのだと思う。

しかしそんな日本政府の姿勢では、ジェンダーギャップ指数121位の悲しい現実は、一向に改善されないばかりか、ますます悪化していくだろう。日本政府には、一刻も早い、選択議定書の批准を求めたい。

(「女性差別撤廃条約実現アクション」では、「選択議定書」の批准を求めるオンライン署名も呼び掛けています。

https://opcedawjapan.wordpress.com/

ぜひ、ご協力をお願いします)。

 

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