職場の文化を変えるために必要なこと~OECDから見た日本の働く女性~ 弁護士 宮地 光子

2015.02.01

【ジェンダー平等を促進することが不可欠】

昨年11月22日、WWN(ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク)は、OECD(経済協力開発機構)のステファノ・スカルペッタさん(雇用・労働および社会問題担当局長)を招聘し、「OECDから見た日本の働く女性の地位向上と非正規問題」をテーマにシンポジウムを開催し、100名余りの参観者が熱心に耳を傾けた。

シンポジウムでステファノさんは、まず日本の「教育におけるジェンダー平等」と「労働におけるジェンダー平等」の関係について話を始めた。

「今日、日本では、25歳から34歳までの女性の59%が大卒であるのに対し、同年齢の男性の大卒は52%と、女性の方が男性より大卒の割合が高い。しかし女性の労働市場参加率も給与所得も男性より低い。給与所得の男女間格差は、OECD諸国の中で2番目に大きい。女性がパート・タイムや有期雇用で働くことが多く、常勤の正規雇用についたとしても、女性は、管理職向けのコースではなく、定型事務業務のコースにつくことが多いからである。

育児休暇について、母親だけでなく父親も(両方の親が)取得すれば、1年の休暇が2ヶ月長くなる制度を日本は導入しているが、それでも父親の育休取得率は、3%弱にとどまっている。また託児および就学前施設に対する公共投資はGDPの0.4%(2011年)を少し超えるだけであり、デンマーク、フランスまたはスウェーデンが同じようなサービスに支出している額の約3分の1にしかすぎない。このことが多くの託児・保育施設での過密、高い料金や待機児童の問題につながっている。

託児・就学前保育の支援や、既婚女性が退職せずに働き続けることを促進するような税金制度の改革などが必要である。しかし、社会政策措置がより効果をもつためには、職場の文化を変え、有給および無給の労働においてより大きなジェンダー平等を促進することが不可欠である。そのためには、正規および非正規雇用の格差を縮小する、母親が一時的に労働市場から離れた後、正規雇用に戻ることを容易にする、長時間労働の蔓延を制限する、給与制度において年功よりも実績の役割を拡大する、コース制のコースや昇進・昇格への平等なアクセスを促進するなどの変化が必要である。」

 

【現場から声をあげ続けよう】

ステファノさんの講演のキィーワードは「職場の文化を変える」であった。そしてそれは「有給」の労働だけでなく「無給」の労働(家事・育児・介護)においても、「ジェンダー平等を促進する」ためのものでなくてはならない。
ステファノさんの講演の後、WWNの取り組んだ正規・非正規の女性へのインタビュー結果と世界へのアピール行動についての報告があった。そしてさらに日本の職場の文化を変えるべく、裁判に立ち上がった女性達の報告もあった。ステファノさんは、そんな女性達の報告に熱心に耳を傾けておられた。

草の根のネットワーク組織のために、はるばるパリから国際機関の局長さんが来て下さったのはなぜ?懇親会の席上、そんな疑問をステファノさんに投げかけた参加者がいた。ステファノさんは、「私たちのやっている仕事が、現場にどんな影響を及ぼしているのか、それを知りたかったからです」と答えておられた。

OECDのホームページには、「OECDは、世界中の人々の経済や社会福祉の向上に向けた政策を推進するために活動を行っている国際機関です」とある。OECDの出版物を見ると、あらゆる分野の報告書が並んでいる。その中で「OECDジェンダー白書―今こそ男女格差解消に向けた取組みを!」という白書を見つけ、さっそくネットで取り寄せた。届いたのは電話帳のように分厚い白書だ。しかも中身が濃い。

現場の声を無視した政治が続く日本の中にいると、時に、声をあげることも虚しい気持ちにさせられることがある。しかしステファノさんの言葉を思い出すと、今年もまた現場で頑張らねばと思う。

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