「働く女性の平等への挑戦・裁判基金」に支えられて 弁護士 宮地 光子

2011.09.20

【職場での性差別の撤廃を裁判で実現しようとする女性を支援】

去る5月21日、三井マリ子さんと支援の皆さんが、足かけ7年をたたかった裁判の最高裁勝利集会で、こんな感謝状が披露された。

「貴団体は6年もの長きにわたり、すてっぶ『館長雇止め・バックラッシュ裁判』へ基金を貸与してくださいました。『職場における性差別の撤廃を裁判によって実現しようとする女性のため』という貴団体の篤い志に連なることができた喜びと、心より深い感謝の意をここに表します。館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会・代表上田美江」

感謝状を贈呈されたこの団体とは「働く女性の平等への挑戦・裁判基金」のことである。今から7年前、住友電工男女賃金差別事件は、高裁での逆転勝利で、幸いにも原告の女性たちは、会社に解決金を払わせることができた。もともと自分たちだけのためではなく、働く女性たちの代弁者として裁判に立ち上がった原告だったから、裁判で得た成果も次代の女性たちに役立てたいと願っていた。一方、私は、高裁での逆転勝利を手にしながらも、彼女たちや弁護団がここまで来る苦労を振りかえると、せめてこれからは、裁判にかかるお金の負担だけでも軽減することができたらと思っていた。そこで立ち上げたのが「働く女性の平等への挑戦・裁判基金」である。

基金の趣意書には「基金は、職場における性差別の撤廃を、裁判によって実現しようとする女性のために、その費用の一部を援助することを目的として運用致します。」とあり、当初は住友電工事件の和解金の一部をあてることで出発した。そして川島織物セルコン(株)を退職して男女賃金差別裁判に立ち上がった松田安希子さんや、三井さんの館長雇止め・バックラッシュ裁判の地裁・高裁段階での支援を行った。このように支援を続けることができたのは、その後、同じような男女賃金差別事件の解決によって得た和解金の一部を、基金へ寄附して下さった方々や、退職金の一部を寄附して下さった方々がいたからである。そして今回、また新たな支援を行うことができた。

 

【中国電力事件の控訴審逆転勝利をめざして】

あの東日本大震災に見舞われた3月11日から間もなくのこと、中国電力に働く長廹忍さんからWWN(ワーキング・ウイメンズ・ネットワーク)に相談が持ちかけられた。男女賃金差別裁判を広島地裁に提訴していたが、3月17日に全面敗訴の判決を受けた。何とか控訴審を頑張りたいとの相談であった。

この判決は、中国電力において、女性労働者が男性労働者よりも昇格が遅く、資格の格付けに男女間で歴然とした差があることを認定しながら、同社が14年も前に女性職員に実施したアンケート調査の結果を引用して、「被告の女性社員の中には、就労するのは結婚出産等までという意識や、女性は家庭を守るべきであるという意識を有している者が少なからず存在することが窺われるところ、このような意識が労働意欲等に影響を与える結果、人事考課において評価が男性社員よりも低くなる女性社員がいるという可能性も否定できない」としたのだ。女性に対する偏見で、差別的取扱を正当化する極めて問題のある判決だった。

急遽、新たに弁護団を結成して、裁判基金から支援を受け、控訴審を取り組んでいくことになった。しかし広島高裁への交通費だけでも馬鹿にならない。裁判基金がなかったら、その負担に、二の足を踏むような結果になっていたかも知れない。そう思うと、裁判基金を立ち上げていたことに、改めて救われた思いがした。

この新たなたたかいが、また次のたたかいを励ますことができるよう、高裁での逆転勝利を目指し皆さんと一緒に頑張って行きたい。そう決意を新たにしているところである。

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