私の中の国際化 弁護士 雪田 樹理

2003.08.20

9・11テロ以来、イラク戦争、北朝鮮問題、SARSと続き、国際社会は、政治的にも社会的にも、そして、人の流れにも大きな変化が生まれている。日木はといえば、アメリカに従う以外には確固たる方針をもたないまま、有事法制を立法化し、子どもたちには「愛国心」という道徳を押しつけ、多様性を認めない、ますます閉塞感ある、孤立した社会をつくろうとしている。

話は変わるが、弁護士になりたてのころ、外国人事件で出会ったタイ女性は、拘置所の中から空を眺め、同じ空の下で生きている母同の家族に思いを馳せていた。この話を聞いてから、私も空に地球的な広がりを思い描くようになった。例えば、数年前、中学生のころには果てしない世界地図上の地でしかなかった南アフリカの喜望峰に立ったが、その時の空や海、そして星空。いまも空を見上げると思い出す。

このタイ女性は、家族の生活を支えるために日本に働きに来ていた。母国の両親はまだまだ若いが働いていない。娘(息子ではない)が親のために働いて生計を支えるのが当たり前、そんな親孝行文化のなかで育ったタイ人女性たちが、この日本で、狭い部屋に数人で身を寄せ合って生活している姿を、私はこの事件を通して初めて知った。

バブル期に、大勢の日本人男性が訪れたフィリピンでは、「いつ、お父さんが帰ってきてもいいように」と、写真でしか知らない日本人の父親が家に帰ってくることを楽しみに、小さな家の鍵を毎日、開けたまま寝ているという子どもに出会った(故松井やよりさん同行のフィリピン調査旅行だった)。フィリピン女性と日本人男性との間に生まれた子ども、JFC(ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン)と呼ばれる子どもである。

フィリピン女性と交際し、子どもが生まれると連絡を絶ってしまった無責任な日本人男性は数知れず、JFCは何万人もいるといわれている。

弁護士になって初期のころ、こんな事件と出会ったことから、外国人の女性や子どもに関する事件をライフワークの一つと位置づけるようになった。現在、担当している女性の国籍は、フィリピン、中国、韓国、ブラジル、スーダン、ケニア、エチオピアである。

外国人女性は、言葉のハンディを抱えながら、限られた惰報、限られた仕事、女性差別、外国人差別、暴力(DV)による人権侵害、文化の違いを理解しようとしない日本社会の壁等々によって、何重もの差別や人権侵害を受けて生活している。

外国人事件を担当していると、日本国内だけでなく、世界各国で女性たちが、同じように性差別や人権侵害を受けていることを実感する。ある難民申請の事件では、母国はイスラム軍事政権下にあって、女性はイスラム服以外の衣服を身につけることが許されていない。西洋服を着ていた彼女は60回の棒打を受けた。女性は男性の付添いなしで海外に出ることもできず、また、幼少時にはFGM(女性性器切除)を強制され、女性たちはその後遺症に苦しんでいる。彼女は日本で難民として保護されるよう訴えている。

ジェンダーによる人権侵害は世界共通である。言葉が通じなくとも、文化が異なっていても、女性であるがゆえに経験している痛みは、自然と私の心に響いてくる。

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