デートDVについて考える──伊田広行著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』を読んで 弁護士 髙坂 明奈

2015.07.22

【「でっちあげDVだ」という主張には要注意】

今年の2月に出版された伊田広行著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ——被害者支援/加害者対応のコツとポイント』(解放出版社、2015年2月)を読みました。著者の伊田広行さんには、当事務所の昨年夏の事務所ニュースに寄稿いただきました(タイトルは「非暴力ルーム・大阪(NOVO)の活動紹介」)。著者が「ぜひ警察の方、法律関係の方、弁護士や裁判官、検察、DV相談員、教員などに読んでいただきたいと思っています。」と紹介されていて、ちょうど、2月下旬にDVやストーカーがテーマのセミナーの講師を予定していたので、すぐに購入しました。

内容は、第1章から盛り沢山で、第1章だけでも「そうそう、なるほど、へーそんなことあるんだー」と引き込まれます。DVを「主体性の否定」と広く定義され、グレーゾーンのDV(比較的軽いDV)を見過ごすことでDV被害が大きくなることを指摘されています。

個人的に注目したのは、「でっちあげDV」について言及されている個所があったことです。最近、DV冤罪というテーマを取り上げている情報番組を見る機会があったのですが、偏っているなあと感じていました。著者は、「簡単に『でっちあげDVだ』という主張に同調してはいけない」と言い、加害者が「『でっちあげだ』と言っている事の真実を見極めるためにも、別れたくないという感覚に注意することが必要です。パートナーと関係が悪くなれば、別れるということをもっと考えるしかないはずです。妻の悪口をたくさん言ったり、でっちあげられた、しかけられたと言いながら、復縁したいと言うのは、DV加害者的な感覚ではないかと疑う必要があります。」と書かれていて、加害者に接する機会が多い著者だけに説得力があると思いました。

私は、大阪府下の高校に出向き、「デートDV」(恋人間のDV)をテーマにして高校生に授業をすることがあります。そのとき、高校生からは「何がよくて何があかんか分からん」とか「束縛は愛やん」という発言がでることがあります。高校生が恋愛のお手本にするのは少女・少年コミックやドラマだったりするわけですが、その中ではDVが「愛情表現」とされていることがあります。著者もそのことを指摘しており、壁ドンや俺様キャラの問題も書かれています。

 

【「別れに相手の同意はいらない」】

自分自身が被害者であるという人や支援を行う人が読んで参考になると思ったのは、第4章「被害者へのかかわり方・相談の乗り方・リスク対策」です。「基本のき」ともいうべきことですが、「別れに相手の同意はいらない」ということが丁寧に書かれ、罪悪感は不要、はっきり別れを言う、と別れについての考え方を変える必要性が書かれています。そして、相手が別れないという意志で行動をとってきたときに、どう闘えばよいかまで具体的に書かれています。警察をどう使えばよいか、警察に動いてもらうにはどういうスタンスで臨めばよいかも言及されていて、参考になると思います。さらに、昨年11月に成立した「リベンジポルノ防止法」にも触れられています。

ホットな話題満載で参考になる本でした。今のパートナーとの関係を見つめ直す一冊にもなると思います。

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