尊敬し憧れてやまない美輪明宏さんは、物事はすべてプラスとマイナス、陰と陽、裏と表など相反する二つの要素で成り立っている、人生には、良いことと悪いこと、幸せな事と辛いことというように、正と負の出来事が交互に訪れる、これを「正負の法則」と述べておられます。たしかに、そんな気がします。
先日、裁判所からの帰り道、その後の予定のことをつらつら考えながら歩いて駅に着き改札の手前で、上着のポケットに入れていたパスケースがなくなっていることに気がつきました。ここにはPiTaPaカード(クレジットカード機能付き)のほか身分証明書、図書利用カードなどを入れているため、なくすとヤバいのです。心は一気にわさわさし始めました。鞄の中を探してもありません。来た道を戻りながら、どこかに落ちていないかと探しても、見つかりません。結局裁判所まで戻り、入り口の守衛さんや落とし物が集まる部署を聞いて回っても発見されず。取り敢えずPiTaPa カードを止めてもらおうと、携帯を手にしたとき、事務所からの着信に気づきました。コールバックしたところ、「PiTaPaカード落としました？」と聞かれ、「なんでわかったんやろ」とびっくり。拾ってくださった人が、事務所に電話をかけてくださり、しかも、今近くにいるからと、裁判所まで持って来てくださるとのこと。
あー良かった！何度お礼を言っても言い足りない、有り難く嬉しく、人生バラ色気分です。世の中には親切な人がいらっしゃるのですね。裁判所の玄関のところで拾い届けてくださった方に繰り返しお礼を申し上げ、お騒がせした裁判所の職員の方にもご報告とお詫びをし、帰路につきました。悪いことばかりじゃない、心底そう思えた出来事でした。このことを忘れず、私も人のお役に立てるよう、親切な心を失わずにいようと思います。
弁護士 有村とく子
