1 養育費に関する改正
ポイント1:養育費の差押えが従来より容易になった
まず、養育費が「子の監護に要する費用」と位置づけられ、一般先取特権が付与されました。これにより、公正証書や調停調書といった「債務名義」がなくても、合意書や支払約束を示す資料があれば差押えを申し立てられるようになります。さらに、強制執行手続が簡素化され、地方裁判所への1回の申立てで、財産開示手続(養育費の支払義務者は、保有する財産を開示しなければならない) →情報提供命令(市区町村に対し、支払義務者の給与情報の提供を命じる) → 差押えまで連続してワンストップで進められることになりました。
先取特権が付与される養育費の金額についてはまだ議論がされていて確定していません。月額8万円にするという話が出ていますが、仮に8万円と決まった場合、例えば月額12万円の養育費を払う合意ができた場合などそれを超える金額を取り決めるのであれば、やはり公正証書や調停調書を作成しておかなければ、8万円を超える金額についてすぐに差押えができないことに注意が必要です。
ポイント2:法定養育費制度の新設
法定養育費というのは、簡単にいうと、養育費の取り決めがないまま離婚した場合でも子どもの最低生活を守るための「暫定的な最低ライン」を法律で保証する制度です。これまで相手に十分な収入がない、早く離婚したいなどの理由で養育費を取り決めずに離婚し、その後、養育費を求めたいと思っても、そもそも取り決めていなかったし…と養育費の請求を諦める方が多くいらっしゃいました。本年の4月以降については、そのようなケースでも、最低限の養育費(法定養育費)を請求できることになります。法定養育費の金額については、月額2万円という案が出されていますが、まだ議論がされており確定はしていません。法定養育費は、双方の収入に基づき適正な額の養育費を決めるまでの暫定的・補充的なものです。お子さんのために法定養育費を請求しつつ、適正な額の養育費を請求していくことが重要になります。
ポイント3 情報開示命令の新設
裁判所は養育費や婚姻費用を取り決めるための審判事件において職権で、当事者に対し、収入や資産状況に関する情報を開示することを命ずることができるようになりました。正当な理由なく情報を開示しなかったり、虚偽の情報を開示したときは「10万円以下の過料」に処せられることとなります。
2 親子交流に関する改正
ポイント1 親子交流のルール等の明文化
改正前も別居・離婚した場合に、非監護親と子との面会交流は実施されていました。今回の民法改正では、面会交流を「親子交流」とし、より具体的な規定がなされました。また、夫婦が婚姻中で別居している場合(離婚前の別居状態)において、別居親と子どもとの交流について、子どもの利益を最優先に考慮して定めると明文化されました。さらに、これまで父母以外の親族(祖父母等)の面会交流について、民法に規定はありませんでしたが、子どもの利益のために特に必要があるときは、家庭裁判所が父母以外の親族と子どもとの交流を実施するよう定めることができるようになりました。
ポイント2 試行的実施制度の新設
家庭裁判所が、調停成立前や審判前の段階で、親子交流を「試行的に」実施できる制度が新設されました。試行的に実施することで、正式な合意をする前に、面会交流の安全性や継続可能性を確認できることになります。これまでも調停や訴訟手続で試行的面会交流が実施されることはありましたが、法的な根拠が伴うこととなりました。条文では、「子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、かつ、事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができる」とされています。
3 その他
財産分与に関しても請求期間が2年から5年に伸長され、財産分与の際の考慮要素が明文化される等、改正がありました。気になることがありましたら、弁護士にご相談いただければと思います。