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2026年01月29日
平和・人権

日本国憲法の平和主義と「現実路線」 弁護士 有村 とく子

遠く離れたウクライナやガザで起きていることが、決してよそごとではないと思う最近の政治状況です。高市早苗氏は、内閣総理大臣就任後初めて臨んだ2025年11月7日の衆院予算委員会において、中国による台湾侵攻に関し、「武力攻撃が発生したら(日本の)存立危機事態にあたる可能性が高い」として、中国を相手に日本が集団的自衛権を行使する可能性があると発言しました。2015年、若者を中心に大きな反対運動が巻き起こった安保法制は、安倍内閣のもとで成立しました。高市氏は、自他共に認める安倍政治の承継者です。日本が直接攻撃を受けなくとも、密接な関係にある他国が攻撃された際、「日本の存立が脅かされ、国民の生命などに明白な危険がある事態(存立危機事態)」だと判断されると、集団的自衛権の行使として他国に武力攻撃ができる、それが安保法制です。高市首相の前記発言は、この安保法制を念頭に置いたものです。同首相は、非核三原則のうち、核を「持ち込ませず」については、「米国の拡大抑止の提供」を期待するのであれば「現実的ではない」との考えを示してきました。国会答弁でも、非核三原則の見直しを検討する、と述べています。

しかし、日本国憲法の平和主義に違反するこうした動きには歯止めをかけなければなりません。もし、台湾有事が日本の存立危機事態とされ自衛隊が中国軍を攻撃すれば、日本も中国軍の攻撃対象となるでしょう。アメリカが台湾有事に介入すれば、在日米軍基地からの出撃があり、米軍基地のある自治体が反撃の標的とされることは必至です。そうなると沖縄の島々に住む人々の命や生活が脅かされることはもちろん、その他の地域にも波及します。いったん紛争が起きると収束までに時間がかかることはウクライナやガザをみれば明らかです。

日本被団協がノーベル平和賞を授与されたのは2024年、つい2年前のこと。核兵器廃絶を求めて70年近くにわたり国内外で被爆体験を伝えてきた活動と、核兵器が二度と使用されてはならないとの証言を通し世界に訴えかけてきたことが評価されたものです。そのわずか1年後、日本の首相が「台湾有事は日本の有事」と踏み込んだ解釈を示し、非核三原則の見直しを検討するとまで言い始めるとは、ノーベル平和賞の重みを無視するに等しい。

私達が学んできた「法の支配」は一体何だったのか、現実世界は、経済力や武力にものを言わせた弱肉強食のまかり通るところに突き進むのではないかと不安になります。

現実はこうだからそれに合わせるべきであるという考え方には、一定の説得力があります。しかし、「法の支配」は、権力者による恣意的な支配を許さず、法が全ての権力に優越するという原理であり、国内においては、公正で公平な社会の基盤となる人権保障にとって不可欠なものです。また、国際社会においては、力による支配ではなく国際法に基づく紛争解決を促し、平和と安定の維持を目指す考え方です。日本国憲法は、まさに「法の支配」の理念を具現化したものです。憲法の平和主義は今こそ立ち返るべき基本原理であり、現実を本来の姿に戻す羅針盤となります。戦争は最大の人権侵害です。武力紛争を抑止するための方策を身近なところから考えたいと思います。

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