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離婚について

離婚したいと思ったら

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離婚をしたいと思ったらまずあなたはどうしますか?離婚をしてほしいとパートナーに正直に話す、自分の親族や友人に話す、話し合いは無理だからひとまず別居するなど色々な行動が考えられるでしょう。また、パートナーが離婚に応じると言い、離婚届を書いてくれたとしても、それだけでは解決しない問題(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)が色々出てくることがあります。どういった進め方で離婚の話し合いをするべきかについては、ケースバイケースですので、悩まれている方はまずはご相談ください。以下では、ご参考までに、離婚の方法や手続をご説明します。

話し合いによる離婚
(協議離婚)

離婚という言葉で頭に浮かぶ手続は、当事者双方が離婚届に署名と押印をし、役所に提出するいわゆる協議離婚だと思います。協議離婚の場合、離婚届が役所に受理されれば成立しますので、離婚原因の有無は問題となりません。当事者の意思のみで離婚が成立しますので、簡単な方法といえます。
しかし、離婚の条件(養育費、財産分与、慰謝料、面会交流、年金分割など)を十分話し合うことなしに離婚を成立させトラブルになってしまうこともあります。また、協議離婚であっても、親権者をどちらにするか決めなければ離婚が成立しません(離婚届の親権者欄は必ず埋めなければなりません)が、離婚を早くしたいがために、本当は親権を渡したくないのに渡してしまうということもあります。離婚について当事者双方が同意している場合であっても、条件について争いが生じている場合は、調停離婚を検討してもよいでしょう。あせらず、きちんと話し合う方が、後々のトラブルを回避できます。

 

話し合いによる離婚
(協議離婚)のよくある質問

話し合いの結果がまとまった場合、何かしておいた方がよいことはありますか。離婚届を提出するだけでよいのでしょうか。

十分に話し合いをし、「養育費を月7万円にする、慰謝料は200万円にする、子どもとの面会交流は月1回とする」など条件について合意ができたとしても、何もしなければ単なる口約束で終わってしまいます。離婚の条件について合意ができたのであれば、離婚協議書(書面)を作成し、公正証書にしておかれることをおすすめします。公正証書とは、法務大臣が任命する公証人が作成する公文書で、公正証書に強制執行ができる旨の条項を入れることにより、相手が金銭債務を履行しないときは、調停や訴訟を起こさなくても相手の財産を差し押さえることができます。当事務所では、離婚協議書の作成、公正証書作成手続の代理も行っておりますので、お悩みの方はご相談ください。

話し合いをしましたが、相手は絶対に離婚しないと思います。相手からは、「お前は無能だ。」とか、「家事も一人前にできないのに面倒をみてやっている。」などと言われています。私が離婚などできるのでしょうか

相手の同意がなければ離婚できないと思い込んでいる方はしばしばおられます。特に、DVやモラルハラスメントの被害を長年受けてこられた方には、相手から「家事ができないお前が無能で、お前に離婚原因があるから離婚できない。」「俺の方が慰謝料をもらえる。」「お前のせいでセックスレスだから離婚はできない。」などと言われている方が少なくありません。このような相手からの言い分は裁判では通らないことがよくあります。不安に思われている方は、一度ご相談ください。離婚原因があれば、裁判手続を利用し、相手が離婚したくないと言っていても離婚(裁判離婚)をすることが可能です。

調停離婚

相手が同意をしてくれないので裁判をしたいと思っても、日本ではいきなり訴訟いわゆる離婚裁判はできない決まりになっています。「調停前置主義」と言い、例外はあるものの、裁判の前に調停手続を行わなければなりません。調停は、裁判所を通した話し合いの手続です。相手と直接交渉することなく話し合いができますので、DVがあり、当事者だけの話し合いが困難なケースでも有効な手段です。調停は非公開です。調停の流れは、以下のとおりです。まず、管轄の家庭裁判所に申立書を提出することで、調停が開始されます。調停期日が決められるので、調停期日に出席し、調停委員に自分の意見を言います。その後、相手と交代し、調停委員があなたの意見を相手に伝え、相手の意見を聞きます。再度、交代をし、あなたが相手の意見を調停委員から聞くということを繰り返し、合意できる条件を探り、合意ができれば、調停は成立となり、離婚が認められます。調停が成立すれば、調停調書というものが作成されます。
この調書と離婚届(届出義務者の署名・捺印のみで可)を役所に提出すれば、戸籍等の変更が行われます。調停の中で双方が納得できる条件が見つからず、解決が困難であると裁判所が判断した場合は、調停は不成立となり、離婚は認められません。その場合は、訴訟手続をとっていくことになります。

 

調停離婚のよくある質問

これから離婚調停を裁判所に申立てようと思っています。弁護士に依頼をした方がよいのでしょうか。また、依頼をした場合、どのようなことをしてもらえますか。

調停手続について、弁護士に依頼せずに、個人で行う方も相当程度おられます。しかし、自分の意見を調停手続で十分に言えていない場合、調停を始めてみたが自分の希望が通ってないと感じる場合、事案が複雑で調停に際して仮差押などの保全処分を取る必要がある場合などは弁護士に依頼された方が話し合いが進む可能性があります。迷われている方は、一度ご相談ください。ご依頼いただいた場合は、調停の申立書の作成、調停期日への出席、調停手続における証拠や書面の提出などはもちろん、相手や裁判所との連絡調整など細やかな対応を行っています。また、調停の成立前に、このような内容で合意をしても良いか、不利にならないかなど、ご相談を希望される方は、30分あたり5000円+消費税で法律相談もお受けしています。

これから調停手続をしますが、相手と顔を合せるのではないかと不安です。また、相手が裁判所で待ち伏せをしていて嫌がらせをされる危険はないでしょうか。このような場合、何か対応をしてもらえますか。

自分で調停に行こうと決めたものの、相手と会ってしまうことが不安で体調を崩してしまったという声を聞くことがあります。調停手続は、相手と同席することなく進められることが原則です。呼び出し時間は20分〜30分程度ずらされることが多く、待合室も別々にされていますので、顔を合せる可能性は低いです。しかし、相手が待合室を出て廊下でうろうろしたり、あなたを探し、他の待合室までやってくるという可能性は否定できません。そのようなおそれがあり、相手と顔を合わせれば暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりする可能性がある場合(特に、保護命令が発令されている場合)には、特別な配慮を裁判所にお願いすることもできます。また、危険性の非常に高い場合は、別期日にしてもらうこともあります。色々と対応が可能ですので、具体的にどのような心配をされているのか、一度ご相談ください。

裁判離婚(離婚訴訟)

裁判離婚とは、訴訟を提起し、離婚を成立させることを指します。調停をしても離婚が成立しなかったときの最後の手段です。裁判の手続は複雑で、訴状や答弁書、準備書面などの書面の提出の仕方、証拠の出し方にもルールがあります。一般の方には、難しい手続が多いので、弁護士に依頼される方が大半です。相手が離婚を拒否している場合に、訴訟を提起し、判決で離婚を認めてもらうには、離婚原因が必要です(相手も離婚を認めており、親権や財産分与の金額など離婚の条件でもめている場合には離婚原因は不要です)。離婚原因とは、民法770条第1項に定められている以下の事由です。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 回復見込みのない強度の精神病
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由

不貞行為」「悪意の遺棄」「婚姻を継続しがたい重大な事由」というのは、一般の方からすると耳慣れない言葉だと思いますので、少し説明をしたいと思います。

不貞行為」とは、結婚をしている人が自由な意思に基づいて夫や妻以外の人と性的関係を結ぶことを言います。偶発的なものか継続的なものかは問いません。金銭に基づく女性との性的関係も不貞行為に当たる可能性があります。キスやデートを繰り返している場合は、不貞行為に当たらなくとも、「婚姻を継続しがたい重大な事由」とみなされる場合があります。

悪意の遺棄」とは、正当な理由なく同居・協力・扶助義務を行わないことを指します。相手を置き去りにするだけでなく、相手を追い出したり、家に入れないこともこれに含まれます。正当な理由は、別居した目的、別居による相手の生活状況、生活費送金の有無、別居期間等を総合考慮して判断されます。
相手の不貞やDVに耐え兼ねて自宅を出た人に対し、相手から「悪意の遺棄である」と主張されることがありますが、そのような場合は、正当な理由があるといえますし、夫婦関係が破綻した後の別居は、悪意の遺棄には当たりません。

婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかどうかは、裁判官の判断に委ねられています。その判断には、婚姻中の両当事者の行為や態度、別居期間、子の有無及びその年齢、婚姻継続の意思、双方の年齢、健康状態、資産状況、性格など婚姻生活全体の一切の事情が考慮されます。DVやモラルハラスメントなどは婚姻を継続しがたい重大な事由に該当します。そのほか、犯罪行為や服役、浪費、宗教活動、勤労意欲の欠如など様々な事由が考えられます。
裁判の流れは図を参考にしてください。離婚原因の立証責任は、原告すなわち離婚を請求した人にあるというのが原則です。そのため、証拠が重要になってきます。不貞の証拠としては、不貞の写真、不貞相手とのメールのやり取り、着信履歴、クレジットカードの明細、ETCカードの明細、調査会社の調査記録などがあります。DVの証拠としては、診断書、傷の写真、暴言の録音などがあります。また、離婚を求めた本人の証言や第三者の証言も証拠となります。
手続の中で、裁判官が「和解」が適していると判断した際には、和解を促されることもあります。当事者双方が和解案に納得できれば、「和解調書」が作成され、裁判は終了します。和解案に従った方が良いか、判決を待った方が良いかは、ケースバイケースです。
「判決」は、裁判の結果を踏まえ、裁判官が離婚を認めるか・認めないかの判断をします。また、離婚の条件(親権者、養育費、財産分与、慰謝料など)についても判断をします。下級裁判所の判決に納得ができなければ、上訴(控訴・上告)も可能で、その場合には、上級裁判所にて再度審理が行われます。

 

裁判離婚(離婚訴訟)のよくある質問

裁判になった場合、どれくらいの期間かかることになりますか。また、弁護士に依頼をした場合、裁判所に私が出て行かなければならないのは何回くらいなのでしょうか、毎回出席しなければなりませんか。

離婚裁判の期間については、争点の複雑さによって変わります。相手が出席しない場合などは、訴えを起こして2カ月程度で判決がでることもあります。しかし、相手が裁判所に出頭し、自分の主張を色々と述べた場合は、第一審の判決をもらうまでに大体10ヶ月から1年半くらいかかります。上で書いたように、第一審の判決(家庭裁判所の判決)に不服がある場合には、控訴することもできます。控訴がなされた場合は、さらに時間がかかることがあります。裁判の期日は、1ヶ月~2ヶ月の間に1回のペースで開かれます。裁判の場合、原則として、依頼者の方に出席していただく必要はありません。しかし、争点が明らかになり、裁判所が尋問を行う時期がありますので、その時には、出席してもらう必要があります。また、和解手続などで、一緒に出席してもらった方が話し合いが進むような場合は、弁護士と共に出席してもらうことがあります。

これから裁判を起こそうと思っているのですが、裁判をすると相手が財産を隠したり、腹いせに自宅不動産を売ったりするかもしれません。どのような対応をしてもらえますか。

裁判前だけではなく、調停前にもですが、相手が裁判手続をとった場合に、財産を処分したり、隠したりするおそれがある場合には、民事保全手続を利用して、離婚裁判で決着がつくまでの間、相手の財産のうち特定の財産を処分することを禁止することができます。例えば、預金口座を仮差押えをしたり、不動産について処分を禁止する仮登記をしてもらうことなどです。この手続は迅速さが要求されます。一度、ご相談ください。

私は、長年相手からのモラルハラスメントに苦しめられてきました。モラルハラスメントは、立証が難しい、離婚原因にはならないというようなことを聞きました。離婚することはできますでしょうか。

モラルハラスメント(通称:モラハラ)は、一般的には精神的な嫌がらせと定義されています。精神的な嫌がらせは、客観的な証拠がないことが多く、場合によっては、夫婦げんかの延長と捉えられてしまうこともあります。しかし、客観的な証拠が見当たらないからといって裁判でモラハラを原因とした離婚が認められないわけではありません。人格を傷つけるような内容の発言(「頭が悪い」「のろま」「くず」など)、威圧的な態度(扉を強く閉める、執拗に長時間説教する、耳元で大声で話すなど)、決まりの押し付け(食器の並べ方に対して文句を言う、掃除は一日二回以上を強要するなど)なども積み重なれば、離婚原因になりますし、実際、当事務所ではモラルハラスメントの事案でも、事実について丁寧に聴き取りをしたことをもとに離婚を勝ち取ったケースが多数あります。離婚事件は、客観的な証拠がないことがあり、ご本人の証言が重要となってきます。

離婚に際して問題になること

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離婚をする際に決めておかねばならないこと、決めておくべきことを説明します。相手がこちら側の希望を受け入れる場合は、問題になることはありませんが、離婚することには同意していても離婚の条件で争いになることは少なくありません。離婚条件をめぐって、調停や裁判になることがあります。

親権

未成年の子がいる夫婦が離婚をする場合によく争点になるのが、親権です。親権というと、親が子どもと共に暮らす権利、子どものことを決める権利などと思われがちですが、今日、親権とは、むしろ親の責任との考え方が一般的です。親権者は、未成年の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をしなければなりません。親権者は、子どもの成長にとって重要な役割を果たさなければならないため、親権者を決める際には、「子の利益」が基準になります。
具体的には、1. 父母側の事情として、監護能力、監護体制、監護の実績(継続性)、(同居時の)主たる監護者、子との情緒的結びつき、愛情、就労状況、経済力、心身の健康、性格、生活態度、直接子に対してなされたか否かを問わず暴力や虐待の存否、居住環境、保育あるいは教育環境、親族等監護補助者による援助の有無、監護補助者に任せきりにしていないか、監護開始の違法性の有無、面会交流についての許容性など、2. 子の側の事情として、年齢、性別、心身の発育状況、従来の養育環境への適応状況、監護環境の継続性、環境への変化の適応性、子の意思、父母及び親族との情緒的結びつき、きょうだいとの関係などが考慮要素となります。中でも特に重要視されるのは、「監護の実績(継続性)」や「主たる監護者」で、子どもが生まれてから父母のどちらが中心となって子を監護してきたのかがポイントとなります。日本では、子が生まれてから女性が中心となって、育児をし、子を監護していることが多いですので、母親が親権者に指定されることが多いです。また、子の年齢が上がるにつれて、子の意思や子の希望も重視されるようになります。

 

親権のよくある質問

別居後、すぐに勤務先を見つけることができず、現在は母子で生活していますが、生活保護を受けています。収入がないことは、離婚の際に不利に働きますか。

専業主婦であったり、パート就労であった方が離婚する場合、自分自身の収入がなく(あるいは少なく)、生活保護を受給せざるを得ないことは珍しくありません。生活保護を受給しているからという理由で親権者になれないということはありません。親権の考慮要素として、親の経済状況がありますが、収入がないあるいは少ない場合であっても、生活保護や養育費で補うことができれば、ほとんど問題とされることはありません。

子どもの年齢によって、親権の判断は変わってくるのでしょうか。子どもが小さい頃は、母親の方が親権者になりやすいということを聞いたのですが、本当でしょうか。

子どもの年齢が低いほど、母親が親権者に指定されやすい傾向があるのは確かです。しかし、子どもの年齢が低いから直ちに母親が親権者と決められるわけではありません。多くの家庭では、母親の方が、子どもが生まれたときから継続的に監護している、子どもの身の回りのことを中心となって担っているなどの事情があり、子どもと母親との愛着形成ができているため、母親が親権者として適任だとされることが多いのです。裁判等で親権が争われた場合には、家庭裁判所の調査官が子どもの監護状況等を調査し、裁判官に対し父母どちらが親権者としてふさわしいかについて意見を述べることがあります。また、15歳以上の子どもの親権を裁判等で決める場合には,裁判所が子ども本人の考えや意思を聞く必要があります。そのため、年齢の高い子どもの場合、子ども自身の意思が重要になってきます。

養育費

離婚によって夫婦の関係は解消されますが、親子の関係は続きます。子どもを監護していない親は子どもを監護している親に対し、養育費の支払い義務を負います。養育費は、子どもの人数や年齢と、養育費を支払う人と養育費を受け取る人(子どもを養育している人)の収入に応じて支払額が決まります。
養育費の金額については、調停や裁判になれば、裁判所が定めた「算定表」を基準に決められることが多いです。しかし、私立学校への進学や病気の治療費等、算定表以上の金額を請求したい特別な事情がある場合は、算定表の基準に対し養育費の加算を主張することもできます。

養育費のよくある質問

私の夫は自営業者です。サラリーマンなどの場合は、源泉徴収票や給与明細などで収入がわかりますが、自営業の場合は、どのようにして収入を認定するのですか。また、収入がわからないときはどのように判断されるのでしょうか。

自営業の場合は、確定申告書が収入を認定する資料の一つとなります。また、取締役の報酬は源泉徴収がされますので、源泉徴収票も収入を認定する資料の一つとなります。しかし、実収入よりも収入を過少に申告しているなどの事情があり、資料からは収入の認定が正確にできない場合もあります。そのような場合は、同居中にどのような生活状況であったのかを明らかにしてその生活実態から収入を推測することもあります。また、賃金センサス(職種別・年齢別の賃金に関する統計)を用いて収入を認めることもあります。当事務所では、確定申告書の収入が低すぎる場合や収入が不明な場合でも養育費の請求に成功した事例があります。お困りの方はご相談ください。

5年前に離婚調停をし、養育費を決めました。その後、子どもは高校生になり、子どもにかかるお金は増えています。
また、離婚当時に比べ、相手は役職につき給与が上がったと聞いています。養育費を上げてもらうことはできますか。

養育費を決めたときと比較して事情の変更があった場合には、養育費の増額や減額が認められることがあります。養育費の増額が認められる事情としては、子どもの進学による学費の増加、義務者の収入の増加、権利者の収入の減少などがあります。増額が認められる事情があるにもかかわらず、相手が増額に応じない場合は、養育費増額調停を家庭裁判所に申し立てることもできます。

面会交流

面会交流とは、子どもを監護していない親が子どもと会ったり、手紙や電話で交流することをいいます。面会交流の実施には、父母それぞれの理解と協力が欠かせませんが、離婚紛争中に、紛争の相手と協力することが困難な場合もあります。一口に面会交流といっても、会う回数、会う場所などはケースバイケースです。相手と話し合いができない場合は、裁判所に調停や審判を申し立てて決めることができます。また、どうしても相手と顔を合わせたくない場合には、第三者機関に間に入ってもらうこともできます。

 

面会交流のよくある質問

相手から私にDVがあり、子どもにも虐待行為がありました。このような場合でも面会交流をさせなければならないのでしょうか。

裁判所が、子どもと別居している親と子どもとの面会交流を認めるかどうかは、子どもの福祉の観点から判断されます。
そして、面会交流が子どもの福祉を害すると判断された場合には面会交流に制限が加えられることもあります。「子の福祉」に反しないかどうかとは、子どもの意思・精神状態など子どもに与える影響、同居している親の監護養育に与える影響などの諸事情を考慮して判断されます。別居している親が子どもに暴力を振るっていた場合で、今後もそのような暴力が発生する可能性がある場合は、面会交流が制限されることがあります。また、中学生以上の子どもになれば、子どもの意思が重視されますので、親から暴力があったので会いたくないという意思を明示すれば、面会交流が認められないこともあります。子どもに暴力はなく、子どもと同居している親に対し暴力(DV)があった場合についても、これまで裁判所は、原則として面会交流を行う方向で調整をしていました。しかし最近は、面会交流の実施が、同居親の精神状態に及ぼす影響を慎重に判断したうえで、直接交流を制限する事例も見られるようになりました。お困りの方はご相談ください。

財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を、離婚する際又は離婚後に分けることをいいます。財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に得た財産です。共有名義かどうかは問いません。対象とならない財産は、夫婦の結婚前から所有していた財産や、親から贈与を受けた財産、相続で取得した財産などです。このような財産は特有財産と呼ばれます。ただし、夫婦の一方の協力で特有財産の価値を維持・向上することができていた場合などは、その貢献分が分与の対象となることがあります。分与すべき財産がある場合には、夫婦間で2分の1ずつに分配することが一般的です。これは片方が専業主婦であっても同様で、家事労働についても評価がされます。財産分与の対象となるものについては、土地・建物などの不動産から、現金、預貯金、株式などの有価証券、解約返戻金が生じる生命保険や学資保険、退職金まで様々です。財産分与の金額の算定について分からなければ、一度ご相談ください。

 

財産分与のよくある質問

別居をする際にどのような財産を持ち出してよいのでしょうか。自分の名義の貯金はなく、相手名義の預貯金ばかりです。
これまで、家計の管理を任されており、手元に相手名義の通帳やキャッシュカードはあるのですが、別居前に引出しをしてもよいでしょうか。

別居時の財産の持ち出しに関しては、持ち出した財産が将来の財産分与として考えられる対象、範囲を著しく逸脱するとか、他方を困惑させる不当な目的で持ち出したなどの事情がなければ、違法性はないとされています。例えば、相手名義の預貯金のみが財産であり、あなたもそれを管理したことがあり、その預貯金が結婚後に形成されたものであれば、その半分を持ち出しても違法とされる可能性は低いでしょう。もし、分与相当額を超える財産を持ち出した場合は、持ち出した者から相手への分与が認められます。また、客観的には経済的価値のないもので、あなたが持ち出したいと思われるもの(例えば、写真やアルバム、子どもさんのへその緒など)については、別居時に持ち出しておかれる方がよいでしょう。紛争になれば、自宅に入ることを相手が拒否することもあり、そのような場合は荷物の取り出しが難しくなります。

財産としては、自宅不動産がありますが、住宅ローンがついています。どのように分与されるのでしょうか。

ローン付の不動産の考え方は、不動産の時価と現在のローン残高の関係によって二つに分かれます。一つは、不動産の時価がローン残高を上回っている場合(例えば、不動産の時価が2000万円で現在のローン残高が1400万円というような場合)です。この場合、「不動産の時価-ローン残高」がローン付不動産の財産価値ということになります。分配の方法は、不動産を売却して売却益を折半することや、一方が不動産に住み続けたい意向がある場合は、住む人が出て行く人に財産価値の2分の1を渡すことで解決を図ることもあります。次に、不動産の時価がローン残高を下回っている場合(例えば、不動産の時価が1000万円で現在のローン残高が1400万円というような場合、いわゆるオーバーローン)です。この場合、この自宅には財産的な価値はないと判断されます。原則として、ローンの債務者が引き続き債務を返済し、不動産の所有者が物件を所有していくこととなります。しかし、不動産が夫婦の共有状態になっている場合もあり、離婚前に話し合いをしておかなければ、後々問題が起こることもあります。財産分与の中でも不動産の処理は登記の問題などもあり、複雑になることがよくあります。お困りの方は、一度ご相談ください。

慰謝料

慰謝料とは「精神的損害に対する損害賠償金」のことです。慰謝料は、離婚の際に必ず支払われるものではなく、離婚の原因を作った有責配偶者に対して、精神的苦痛を被った他方の配偶者が慰謝料の請求をすることができるのです。慰謝料が請求できる場合というのは、主として、「裁判離婚」のところで述べた離婚原因がある場合です。性格の不一致など、離婚の原因が一方になく、お互い様である場合には、慰謝料は発生しません。

 

慰謝料のよくある質問

離婚する際の慰謝料の相場について教えてください。

慰謝料を算定する場合に裁判所が考慮する要素は、1.有責行為の程度・態様、2.精神的苦痛の程度、3.婚姻生活の実情、破綻に至る経過、4.当事者の年齢、社会的地位、支払能力、5.子の有無などです。裁判になった場合の慰謝料の相場は、50万円~300万円程度です。しかし、調停で合意をする場合や有責配偶者である相手の方が離婚を強く求めているような場合は、相場よりも高額な慰謝料を獲得できる場合もあります。

年金分割

結婚していた期間が長い、いわゆる熟年離婚の方の場合、年金は大きな財産となることが多いです。年金分割の制度を活用し、年金を分割してもらうことができれば、離婚後の生活が楽になることもあります。年金分割の対象となる年金はサラリーマンの厚生年金、公務員などの共済年金のうち収入に応じて保険料を納める「報酬比例部分」で、相手が受け取る年金の半分をもらえるわけではありません。相手が自営業ならそもそも分割する年金はありません。また、相手が厚生年金に上乗せして受け取る厚生年金基金は年金分割の対象になりませんので注意が必要です(財産分与の分与対象財産になる可能性はあります)。年金分割の制度は二種類あります。まず、一つは、合意分割制度です。この制度は、離婚をした場合に、当事者の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。要件は、当事者双方の合意または裁判手続により按分割合を定めたことです。当事者間で合意ができない場合は、裁判所に調停や審判を申し立てることができます。裁判所は、分割割合について、50%と認めることが通常です。次に、3号分割制度というものがあります。この制度は、2008年5月1日以降に離婚をした場合に、国民年金の第3号被保険者であった者(サラリーマンの扶養に入っている配偶者)からの請求により、2008年4月1日以降の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、分割することができる制度です。年金分割については、離婚調停や離婚裁判をする際に養育費、財産分与や慰謝料などと同様、一緒に請求することができます。

年金分割のよくある質問

年金分割には請求期限があるのでしょうか。

年金分割の請求手続は、原則として、離婚をした日の翌日から起算して2年を経過した場合には、することができないこととされています。離婚がすでに成立しておられる方はご注意ください。

離婚と合わせて取りうる手続

保護命令

保護命令とは、配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力を防ぐため、被害者の申立てにより、裁判所が、加害者に対し、被害者へのつきまとい等をしてはならないこと等を命ずる命令です。別居後、相手からの暴力が予想されるケースでは、離婚手続をとる前、あるいはとっている中で、保護命令を裁判所に発令してもらうよう申立をすることができます。発令の要件は、相手から身体に対する暴力または生命等に対する脅迫を受けており、今後、更なる身体に対する暴力により、生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことです。事実婚のカップルも利用することができます。また、同性のカップルでも認められた例があります。保護命令は身体や生命に危険がおよぶ場合に発令されるもので、その申立も迅速に行う必要があります。申立から発令までの期間は、平均12日前後ですので、裁判手続もスピーディーです。当事務所では、保護命令の申し立てを迅速に行いますし、ノウハウも十分に蓄積されています。相手からの暴力にお悩みの方は、一度ご相談ください。

保護命令のよくある質問

保護命令の具体的な内容を教えてください。

保護命令の内容は、大きく分けて3つあります。1つは、6か月間、加害者が、被害者の身辺につきまとったり、被害者の住居や勤務先等の付近をうろついたりすることを禁止する「接近禁止命令」です。被害者からの申立てがあった場合は、被害者と同居している未成年の子や被害者の親族等の身辺につきまとうことなどを併せて禁止することもできます。
2つ目は、2か月間、加害者に対して、家から出ていくことを命じる「退去命令」です。退去命令が発令されると、安全に自宅に荷物を取りに行くことができるようになります。もし、命令に違反し、相手が自宅にいる場合は、警察に現行犯逮捕されることもあります。3つ目は、6か月間、加害者に対して、迷惑電話やメールをしたり面会を要求したりすること等を禁止する「電話等禁止命令」です。また、上記の保護命令期間が終了しそうな場合(あるいは終了してしまった場合)でも、相手に会うと暴力をふるわれるおそれがある場合は、再度、保護命令を申し立てることも可能です。

婚姻費用分担請求

結婚をすることで、夫婦にはお互いの生活レベルが同等になるように助け合う「生活保持義務」が生じ、夫婦には、婚姻から生ずる費用を、収入その他の一切の事情を考慮して、分担する義務があるとされています。婚姻から生ずる費用というのは日常の生活費のことで、具体的には衣食住の費用、医療費、子どもの教育費や養育費、交際費等です。夫婦が普通に同居して円満な婚姻生活を過ごしている場合には、婚姻費用(いわゆる生活費)の分担の問題を考える必要はありませんが、婚姻生活が破綻し、夫婦が別居した時には婚姻費用(いわゆる生活費)が問題になります。婚姻費用の分担を求める方法としては、夫婦で話し合うことが考えられますが、話し合いができない場合や話し合っても金額の折り合いがつかない場合は、裁判所に調停や審判を求めることができます。婚姻費用の金額については、養育費と同様、調停や審判になれば、裁判所が定めた「算定表」を基準に決められることが多いです。当事務所に来られるお客様には、離婚調停は申し立てたものの、婚姻費用分担請求の調停の申し立てをされていない方が相当程度おられます。婚姻費用が争点となり、婚姻費用の問題が審判になった場合、裁判所が認める婚姻費用の支払いの始期は、婚姻費用分担請求の調停を申し立てた時からです。そのため、別居後、相手から生活費をもらっていない場合は、離婚調停と合わせて婚姻費用分担請求調停を申立てておいた方がよいでしょう。

子どもの引渡し、監護者指定

離婚が成立するまでの間は、夫婦ともが子どもの親権を持っている状態、いわゆる共同親権の状態にあります。しかし、別居が開始されると、どちらか一方が子どもと同居し、監護養育することになります。双方が納得の上で、別居を開始し、子どもが一方の親と同居している状態であれば、子どもの引渡しや監護者指定の問題は生じません。しかし、一方が納得していない中、別居が開始され、子どもと引き離されてしまったような場合に、子どもと別居している親から子どもの引渡しや監護者指定が求められることがあります。また、当事務所でよくご相談があるのが、いったんは子どもを連れて別居をしたけれど相手が子どもを学校や保育園、自宅から連れ去ってしまったというケースです。このような場合は、以下で説明するように迅速に申立てをし、子どもの引渡しを求めていくことになります。子どもの引渡しと監護者の指定は、調停で申立てをすることもできますが、話し合いで解決することは困難なことが多く、裁判官に決定を出してもらう審判という手続で争っていくことがほとんどです。しかし、家庭裁判所が子どもの引渡しを認める審判の決定を出しても相手が不服申立てをすれば、時間が経過してしまい、子どもが相手との生活に慣れてしまうことになりかねません。そこで、審判前の保全処分というものを同時に申立て、家庭裁判所が子どもの引渡しを認めれば、速やかに強制執行をし、子どもを取り返すことができるようにしていきます。強制執行の方法ですが、具体的には、執行官(裁判所の職員)を伴って、子どもの居場所に行き、子どもを引き取ることになります。裁判所が父母のどちらを監護者に指定し、引渡しを認めるかですが、監護者指定の考慮要素は、親権者を決める際の考慮要素とほとんど同じです。しかし、本来親権者になることができないであろう者が子どもを引き取ってしまっているような場合には、迅速に監護者指定を求めなければ、相手のところで長期間生活をすることになり、既成事実が形成され、子どもの監護環境の継続性という観点から、後に親権を争ったとしても親権が認められないことがあります。子どもが連れ去られたような場合には、迅速かつ適切な手続を取ることが必要になります。お困りの方はご相談ください。

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