宮地光子(著)
明石書店 1996年7月刊行 2,000円+税
ご購入はこちら>>均等法施行後10年で職場がどのように変わったのかを、当時、著者が担当していた住友生命ミセス差別事件や、住友メーカー3社(住友金属・住友化学・住友電工)、商工中金、シャープ関係会社、シオノギ製薬などの各企業での男女賃金差別事件をもとに検証している。
査定による差別、コース別雇用管理による差別と、差別の形は違っていても、そこに共通しているのは、女性を男性と対等の労働者とみなさない企業のあり様である。そんな企業に対して、職場で声をあげたり、調停申請を行なったり、裁判に立ち上がったりした女性達の姿を紹介している。
また派遣労働者の相談事例や、有期契約による女性差別の実態、臨時社員と正社員の女々間格差をめぐる判決にも触れ、これらの不安定な雇用が、女性の労働権を侵害している実態も明らかにしている。
さらには女性の労働権が軽く扱われていることが、過労死を招きかねない男性の長時間労働や、単身赴任を余儀なくされる人事異動を生み出す原因になっていることにも言及し、最後に、生きづらい「身分社会」を変革するための平等のルールづくりも提言している。
「MARC」データベース(図書館専用のデータベース)は、本著を「豊富な事例で均等法10年の動きを検証。男女賃金差別裁判や働く場での男女平等確立の条件などをわかりやすく解説。性差別なき社会を実現するための課題を明らかにし、今を生きる女性たちを応援する。」と紹介している。