2019年6月、性行為を条件に、法定金利を大幅に超えた金利で、複数の女性にお金を貸し付けた男が、出資法違反で大阪府警に逮捕されました。最近、このようなお金の貸し借りは、「ひととき融資」と呼ばれているそうです。
融資を業として行う場合(不特定多数の借手に反復継続してお金を貸す場合)は、貸金業法上の事業者登録が必要ですし、利息制限法では、元本の金額に応じて利息の上限が定められています。上記の事件では、この利息制限法上の法定金利を超えて金を貸し付けたことが、出資法違反と判断されました。
「ひととき融資」の多くは、SNS上等で一般の金融機関からは借金のできない人を募り、実際に会って性行為を行った上で、お金を貸し付けます。被害者は、性行為の場面を写真や動画に撮られたり、継続して性的な関係を強要されたり、望まない態様の性行為(避妊しない等)を強いられたり、当初の約束よりも高い金利を請求されたり…といった更なる被害に遭う場合もあります。
被害者は、理不尽な被害に遭っても、動画の拡散や、自分が売春に問われるのではないかといった不安、自分からお金を借りに行ってしまったという自責の念等から、警察等に相談できないことが多いようです。
「ひととき」という軽くて穏やかな呼び方の裏で、実際になされているのは、融資に名を借りた極めて悪質な性的搾取です。
「ひととき融資」でお金を借りなければならないほど追い詰められている場合には、困窮の根本的な原因を解決する必要があるはずです。「ひととき融資」に頼る前に、債務整理等について、弁護士等に相談していただければと思います。
弁護士 角崎恭子