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2019年12月10日
弁護士コラム

vol.5 「フラワーデモ」と刑法改正

今年3月、性犯罪の無罪判決が4件も続いたことに端を発して、その抗議の意味を込めて、4月11日に東京で開かれたのを皮切りに、毎月11日、全国各地に「フラワーデモ」が広がっている。たった3人の女性の井戸端会議での発案から始まったというフラワーデモが、この12月には全国31か所で開催されたらしい。

 

「デモ」といっても、いわゆる従来の路上での集団示威行動ではない。フラワーデモは、それぞれの思いを込めた花を身に着けて、公共の広場に集まり、それぞれの思いを語り、あるいはその声に耳を傾ける。そんな集まりである。

 

今まで誰にも言えずにいた性暴力の被害を初めて打ち明ける人、被害者を家族に持つという人からの発言、女性蔑視の風土の中で生きづらさを感じてきたという人、教師の立場で性暴力をなくすために頑張りたいと表明する若い男性、若いころの職場でのセクハラについて話す高齢の方など、私が参加した大阪のフラワーデモでも、老若男女を問わない参加者の発言が次々と続いた。集まった人たちは、お互いを尊重し合い、長時間に及んだ一人ひとりの発言に真摯に耳を傾けていた。そんな温もりの溢れる会場の雰囲気はなんともいえない感動があった。

 

日本ではなかなか広がらなかった世界の#MeToo運動が、#WithYouの標語とともに日本中に広がり始めたこの1年であった。

 

こういった形で被害者たちから発せられる体験を聴くことで、これまでは「痴漢冤罪」という視点からしか性暴力のことを考えたことがなかったという男性たちの間でも、徐々に性暴力の被害の実像についての理解が広がり始めているようである。同じ社会の中で生活していても、男性として生きる自分たちと、性暴力やその危険に晒されながら生きている女性たちから見えている社会とは、まるで違った世界であるということ、社会の安全や安心に関する性差に気づいたという男性たちに出会った。

 

来年2020年は、2017年の性犯罪に関する刑法改正の3年後の見直しに向けて動き出す年になるかもしれない。刑法改正に携わる法務省の人たちや研究者、司法関係者、とくに検討会や審議会の委員になる人たちには、フラワーデモに足を運んで、被害者たちの声を聞いてほしい。そして、その背後には、フラワーデモに参加できない被害者たちが大勢いるという事実を忘れないでほしい。性暴力の被害の実態と真摯に向き合うところから、刑法改正の議論を始めなければならない。被害の実像を知らない人たちに刑法改正を語ってほしくない。

 

弁護士 雪田樹理

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