インターネット上に同意なく性的な画像や動画が拡散されている「デジタル性暴力」。「ハヨンガ」は、韓国のソラネットという「デジタル性暴力」の温床となっていたサイトに闘いを挑んだ女性達の姿を描いた実話に基づいた小説である。
ネット上に、女性というだけで、侮辱され、蔑視される言葉があふれ、そして性暴力の現場があからさまに拡散されている。レイプドラッグによって自分でも気づかない間に被害者になり、その姿がネット上に晒されている、その恐怖と向き合い、そんな現実に立ち向かう女性達の姿が描かれている。韓国では、女性達が果敢に声を上げ、ソラネットを閉鎖に追い込んだという。
「デジタル性暴力」は、ここ日本でもAV出演強要問題として5年ほど前から社会問題として認識されるようになっているが、いまや「デジタル性暴力」は世界中に広がっている国際的な人権問題である。「デジタル性暴力」を根絶するために、立法を含むあらゆる対策が喫緊に取られるべきである。
「ハヨンガ ― ハーイ、おこづかいデートしない?―」の著者であるチョン・ミギョンさんは、この小説が、女性たちが国際的に連帯する小さな糸口となることを祈っているという。
性暴力を受けた女性の心理や感情が、被害者の視点からリアルに語られている表現に共感を覚えながら、そしてこれまで担当した性暴力事件を思い出しながら、一気に読み進めた。
韓国で起きている問題は、ここ日本と地続きであり、私ごととして受け止め、いまも抱えている「デジタル性暴力」事件に立ち向かっていきたい。
弁護士 雪田樹理