トータルな被害者支援ができる弁護士に
はじめまして。私、⽥中嘉寿⼦(たなか かずこ)は、検事として34年間働き、2025年3⽉で60歳を機に退職し、新たに弁護⼠として⼥性共同法律事務所に⼊所いたしました。⼥性検事がまだ少なかった頃、被害者に配慮するため、性犯罪・児童虐待事件の配点を多数受けました。⾃分が担当した被害者が、性暴⼒救援センター・⼤阪SACHICOや兵庫県こころのケアセンターなどのお世話になるのを⾒て、⼼理学の勉強も必要だと感じ、法科⼤学院に派遣された時期を利⽤して武蔵野⼤学通信教育部で⼼理学の学位を取得しました。また、⼦どもの聴取については、2015年から実務に試⽤され、2023年刑事訴訟法改正で導⼊された司法⾯接(誘導せずに正確な事実を引き出し、録⾳録画しながら聴取し、⼦どもの供述負担を最⼩限にする⽅法)の重要性を知り、NICHDプロトコル及びChildFirstプロトコルの研修を受け、後者のファカルティ(講師)になり、司法⾯接の研究をしてきました。その経験から、2022年9⽉から2年間、オランダのハーグ市にある国際刑事裁判所・検事局に派遣され、戦争犯罪の被害者・⽬撃者である⼦どもの司法⾯接ガイドライン作成に従事しました。スウェーデンやスイスなどの司法⾯接先進国の検事や裁判官や、⼦どもが戦争犯罪の犠牲になったウガンダやアフガニスタン出⾝の同僚らとともに同ガイドラインを作成したことは、得難く、忘れ難い経験です。
性犯罪等に関する経験を集約して「性犯罪・児童 虐待捜査ハンドブック」(⽴花書房、2014年初版、 2025年改訂版(予定))を上梓したほか、性犯罪被害者がなぜ凍結して抵抗できないのか、被虐待児がなぜ加害親に迎合して被害を⾔えないのかについて、裁判所を説得できるだけの理論武装が出来るよう模索する中で、ポリヴェーガル理論や5F反応などの論⽂に出会い、感銘を受け、⾃著・共著等で紹介しました。
さらに、性犯罪・児童虐待の被害者・家族は、しばしばDV、離婚、⽣活苦等の問題を併有していました。検事時代は、「弁護⼠に相談してください」と送り出していましたが、今後は、⾃ら、被害者家族の問題に包括的な⽀援ができる弁護⼠を⽬指したいと思います。
また、地位利⽤型性犯罪に関する経験に加え、東京地検公安部労働係として労働基準監督署から送致された事件を扱った経験から、セクハラ・パワハラ・マタハラ等各種ハラスメントの被害者には、加害者個⼈に対する制裁(処罰・懲戒・損害賠償)だけでは⾜りず、当該組織の⺠事責任の追及による組織⽂化の改⾰がなければ真の救済は得られないと痛感しました。今後は、犯罪・各種ハラスメントの被害者が泣き寝⼊りせずに救済を求める声を上げられるよう、微⼒を尽くし、弱者が⽣きやすい社会の実現に貢献すべく、新⼈に⽴ち戻って弁護⼠として研鑽していく所存です。
その意味で、⼥性共同法律事務所は、最適・最強の事務所であると思い、温かく迎えていただき、感謝しています。
何卒ご指導ご鞭撻を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。