今年8月21日から3日連続で予定されていた、フジロックフェスティバル2020がコロナ禍で来年に延期となったことから、同じ日程でこれまでのライブ映像を編集したものがYouTube上に発信された。 2日目のラインナップで、見逃せないと思って観た忌野清志郎さんのフジロックでのライブ映像に、私はシビれた。これに触発されて、彼の名言集『使ってはいけない言葉』(百万年書房)までゲットした。
清志郎さんは、熊野古道が世界遺産に指定される前、『熊野の森LIVE』(2003年3月23日)のMCでこんなことを言っている。
「(熊野が)世界遺産になるんだってな。遺産なんか遺すもんじゃねーぞ。俺は息子と娘に30円ぐらいしか遺産を遺さないつもりでいます。俺の夢は、この世界中から戦争がなくなることだYeah!本当の愛と平和がやって来ることだ!もう21世紀だ。人間の歴史はずーっと戦争の歴史だったんだ。いろんな物をブッ壊して、人をたくさん殺してきたんだ。でももう21世紀だ。戦争はもう終わった。終わったんだ! 古くさいぜ!環境破壊なんて言ったってな、戦争が一番の環境破壊なんだ。OK!この国の憲法を知ってるかい?“永久に戦争を放棄する“絶対に戦争はやらないってことだよ。戦争に加担しないんだ。そして世界の平和のために努力するんだ。それがこの国の憲法なんだぜYeah!政治家は知らないんだろうか?この国の憲法を知らないで政治家になったんだろう、きっと。・・・この国の憲法はね、”永久に戦争をしない、世界平和のために貢献する“。まるでジョン・レノンの歌みたいだろ?なんでみんな自慢しないんだ。世界中に自慢すればいいじゃないか。こんな素晴らしい憲法を、堂々と胸張って自慢するべきだ!OK、じゃ、もう、熊野BABY!ジョン・レノンの歌やります。」
-この会場にいたら、間違いなく私も両手を挙げて「よっしゃぁ!」と叫び、跳ねていただろう。
コンサート会場で歌の合間に聴衆に向かってこんなことを言う清志郎さんは、かっこいい。戦争をなくすために努力するんだ、私たちはこの国の平和憲法を胸張って自慢しようぜというメッセージは、彼が亡くなって11年経った今も、胸に響く。
戦争で亡くなった人々、大切な人を亡くした人々、原爆による被害を受けた人々のことを忘れてはならない。今度は、私たちが、本当の愛と平和のやってくる時代を次の世代に遺す番だ。元気を出そう!
弁護士 有村とく子