なぜ女性は社会で差別を受けるの?
昨年11月23日、大阪大学豊中キャンパスにおいて、シンポジウム「来たれリーガル女子!〜女性の裁判官・検察官・弁護士の仕事と働き方って どんなんかな〜」が開催され、私はその中のグループセッションに参加してきましたので、内容をご紹介したいと思います。
このシンポは、女子中高生を主な対象とし、女性法律家(裁判官、検察官、弁護士)の仕事の内容や魅力を語り、関心をもってもらうことを目的として開催されました。中高生120名、保護者102名、合計222名もの参加者があり、大変好評でした。
第1部では、国連女性差別撤廃委員会委員の林陽子弁護士の基調講演があり、第2部では、裁判官、検察官、弁護士のパネルディスカッションでそれぞれの働き方を聴くことができました。第3部では法曹による模擬裁判の実演があり、学生の皆さんに有罪か無罪か考えてもらい、裁判を体験してもらいました。
私が参加した第4部グループセッションでは、裁判官、検察官、弁護士が、刑事、民事家事、労働、男女共同参画、企業法務、国際関連、憲法人権、医療福祉の分野に分かれて、少人数形式で学生の皆さんと双方向でお話をしました。
私のグループのテーマは「男女共同参画」で、多くの学生の皆さんから質問があったのは、今、自分は男女差別を受けていないと思うし、男子と対等にいろいろなことができていると思う、しかし、社会に出ると差別があったり、働く場で女性が不遇な目にあうと聞いたが、なぜかという内容のものでした。
確かに、学生の皆さんの指摘のとおり、「平成28年度版働く女性の実情」によると、平成28年3月高校卒の男性の就職率は、98.3%、女性は、96.8%と殆ど差はなく、大卒男女の就職率においては、男性96.7%、女性98.0%と女性の方が高いのです。
働く女性がぶつかるさまざまな問題
しかしながら、日本の女性は出産や育児をきっかけとして退職する割合が多く、その後、主婦になったり、働くとしても非正規として働く割合が多いので、男性との賃金格差が大きくなります。なぜ女性は出産や育児をきっかけに退職をしてしまうのか。過去に当事務所ニュースレターのリレーエッセイを書いてくださった神原文子さんは『子づれシングル』(明石書店・2010)で、男女の賃金格差の問題に触れ、初婚年齢は女性が男性に比べて若いことから、共働きが難しくなったときに、収入が低い女性が退職せざるを得ない、と指摘されています。
そのほかにも、子どもを預ける保育施設がない(待機児童の問題)、夫を含め子育てに関わる人が女性以外におらず、正社員としてはとてもやっていくことができない(ワンオペ育児の問題)、マタハラなどの要因で職場で産休や育休を取って働き続けることができないなど、さまざまな問題があると思います。
私のセッションには、中学1年生の女子が4人もいました。つい最近まで小学生だった方が、社会の問題に目を向け、将来の働き方を意識されていることに本当に驚きました。学生の皆さんに持続できる働き方を考えてもらいたく、自分の仕事について語る良い機会でした。