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ニュースレター

2020年08月19日
性被害・セクハラ
雪田 樹理

性犯罪・性暴力をめぐる最近の動き  【弁護士 雪田樹理】

動き出した「性犯罪に関する刑事法検討会」

 

性犯罪や性暴力をめぐる前号以後の続報をお届けします。

 

今年3月末、法務省から「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ取りまとめ報告書」が出されました。

ワーキンググループは「性犯罪の実態を着実に把握するため,合計14回の会合を開催し,被害実態,被害者心理,被害者支援,加害者の再犯防止等の様々な観点から,性犯罪被害者,犯罪被害者支援に携わる弁護士,被害者心理学の専門家や性犯罪加害者処遇に携わる専門家等の関係者からのヒアリングを実施するとともに,ワンストップ支援センターの視察を実施した。また,併せて,性犯罪被害者の心理等についての調査研究,性犯罪等被害の実態把握のための調査研究,性犯罪者に対する多角的な調査研究,性犯罪に関する罰則の運用状況等についての調査等の各種調査研究を有機的に連携させながら実施してきた」としています。取りまとめ報告書は、私達も要求していた裁判例や不起訴事例の調査を含んだ刑事実体法に関する事項のほか、刑事手続法に関する事項、加害者の再犯防止に関する事項、その他子どもに対する教育等も含む広範な内容になっています。

 

そして5月には「性犯罪に関する刑事法検討会」が立ち上げられ、6月から議論が始まっています。17名の検討会委員の中に、前号でお伝えした「刑法改正市民プロジェクト」の構成員でもある被害当事者で、当ニュースレターのリレーエッセイに登場いただいたことのある山本潤さんが選任されたのは特筆すべきことです。

 

さて、検討会の井田良座長は冒頭の自己紹介文で、各委員に対して他の委員の発言に対する寛容さを求め、また謙虚さを持ち、それぞれの分野の専門家の集まりらしい気品のある議論を求めています。私は、その前提として、まずは各委員に、性暴力被害の実態全般について共通認識を持っていただくこと、氷山の一角についてのみ対応している現在の司法の実情や問題点に関しても正確な理解を持ったうえで議論をしていただくことを願うばかりです。

 

私が所属する国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、検討会での議論に向けて、6月11日、前号のニュースレターで詳しく紹介した昨年11月に公表した刑法性犯罪規定改正案の改訂版を発表しました。前回の叩き台について、国内外の法律家や市民との対話を行い、知見を深めて改訂しました。ぜひ、ご参照ください。(https://hrn.or.jp/activity/17916/

 

「性暴力被害者支援法」立法化の実現を

 

また、私たちが改訂案を出したちょうど6月11日、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」から、令和2年度から4年度までの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」とする旨の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が示されました。刑事法の在り方のほか被害者支援の充実、加害者対策、教育・啓発の強化等の実効性ある取組みを速やかに進めていくとしています。これまで長年、日の当たることのなかった性暴力対策が、この日本でも本格的に進められていくことを強く期待します。

 

この方針の中では、被害者を支援するためのワンストップ支援センターの充実についても多角的に触れられています。しかし、それらの施策を確実かつ安定的に実現していくためには、過去に何度も野党全党会派が共同して国会に提案をしてきた「性暴力被害者支援法」の立法化をぜひとも実現していく必要があると考えます。

 

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