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2023年02月03日
子ども本の紹介

リレーエッセイ  No.43  スマホ時代の子どもたちのために 兵庫県立大学環境人間学部准教授(教育学博士) 竹内 和雄(たけうち・かずお)

ネット依存、ネット炎上、ネットでの出会い…。マスコミは連日、子どもとネットについての話題でにぎわっています。私は、元中学教員で、2012年に大学に移ってからも、子どもとネットについて深く関わることが多いです。かれこれ15年近く、このあたりについては比較的わかる位置にいます。そういう私から見て、今、子どもとネット問題は歴史的な転換期にあるように見えます。理由は2つあります。

1つ目の理由は、低年齢化です。私が関わっている調査(内閣府2022)によると、2歳児のネット利用率は62.6%です。子どもたちのネット問題がクローズアップされたのは、「バイトテロ」等が社会問題になった2010年頃です。高校生や大学生がアルバイト先で、冷蔵庫の中に入ったり、厨房で悪ふざけしたりする写真を撮り、それをアップして「炎上」していました。当時は、高校生以上が対象でしたが、その後対象はどんどん下がり、とうとう乳幼児にまで下がってきています。下がるところまで下がった、というのが印象です。

2つ目の理由は、GIGAスクール構想です。政府、特に文部科学省が主導して、義務教育(小1~中3)のほぼ全ての子どもたちには、2021年度から一人一台情報端末が配られています。学校で情報端末を文房具として活用する時代がとうとうやってきました。つまり、利活用に大きく舵を切ったのです。

こういう時代ですから、私たち社会は大きな方向転換が求められます。これまでは「ネットやスマホは子どもに悪影響」「ネットの弊害から子どもを守ろう」等の声が強く、社会全体としては、フィルタリングを中心とした「制限・禁止」が主でした。しかし、利活用に舵を切った今、新しい方向性が必要です。とはいえ、そう簡単にはいきません。私たちの社会を含めて、世界中に前例がなく、知恵の蓄積もありません。手探りで文化を作っていく必要があります。

例えば、自転車については、三輪車から始まり、補助輪を付けた小さな自転車を経て、自分で乗れるようになります。その際、保護者が公園等で一緒に練習し、自転車で走ってよい場所も少しずつ広めていきます。誰かが決めたわけでもなく、北海道から沖縄まで、ほぼ同じような状況です。

しかし、ネットについてはそういう文化がありません。全国各地で試行錯誤を繰り返しています。条例では、石川県は2009年中学生以下の携帯電話の所持を禁止しました。「制限・禁止」が中心だった当時はおおむね肯定的に受け取られましたが、中学生の9割近くがスマホを所持している現状にはそぐわなくなり、「適切な利用方法を理解した上で賢く使う」方向に改正されました。石川県が愚かだったわけではもちろんありません。当時の大人が一生懸命考えて作った条例です。しかし、現状に合わなくなったから改正する。そういう柔軟さが私たち大人には求められています。

香川県では、2020年、18歳未満のオンラインゲームを平日60分、休日90分とする条例が施行されました。「ゲームの時間は家庭の問題」「県が口を出すのはいかがなものか」等の声がネットに溢れ、高校生が裁判を起こしました。この条例について全国各地の中高生に聞いてみると、子どもたちは賛否半々です。「ナンセンス」等の批判の声もある一方、「条例があったらやめようといいやすい」という声も多いです。子どもたちは私たちが思っている以上にネット等との付き合い方に苦慮していることがうかがえます。ただ、そういう子たちも「大人に勝手に決められたくない」という面では一致します。

2歳でネットを使い始めた乳幼児は、4年後小学生になります。10年後には中学生です。そのころには、まったく新しい対応が必要になります。実は私は、文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」の座長でした。2020年、10年ぶりに文部科学省が通知を出したのですが、基本的には10年前の「小中学校校内持込禁止、高校校内使用禁止」を引き継いだかたちです。しかし、10年後にはそうも言っていられない状況になることは十分に想像できます。試されているのは私たち大人です。

スマホの具体的な使い方はこの本をご覧ください

こどもスマホルール

(時事通信社 2022年4月21日発行)

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