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2026年08月06日
性被害・セクハラ世界の女性
雪田 樹理

デジタル性暴力に関する韓国の調査  弁護士 雪田 樹理

韓国視察の背景と国際社会の動向

「デジタル性暴力」に関する法整備・被害者支援の先進国の一つである韓国を、昨年9月、国際人権NGOヒューマンライツナウの一員として訪問・調査しました。今年3月に報告書を公表し、日本政府への提言を出しています。

【参照】 国際人権NGOヒューマンライツナウ「韓国におけるデジタル性暴力の法規制・支援体制に関する調査報告書」 https://hrn.or.jp/news/28942/

国際社会では、2018年に国連の特別報告者がオンラインにおける女性に対する暴力に関する報告を出し、2022年国連事務総長の報告書で、デジタルテクノロジーに関連した女性に対する暴力の深刻な現状に警告を発し、加盟国に対して、法律、政策、規制枠組とアカウンタビリティーを強化すること、被害者支援サービスの拡充、司法アクセスの改善、社会規範や行動の変容による長期的な視点での防止策への投資、データ分析や調査を行うこと、民間企業や情報通信サービス提供者・女性の権利団体や専門家を含むグローバルなイニシアティブやパートナーシップの構築などを求めています。

これに呼応して、アジア諸国でも取組がなされており、とくに韓国では「n番部屋事件」というショッキングな事件が発生したことから、2020年から2024年にかけて、短期間で法整備が進み、特筆すべき法制度と被害者支援の体制が確立されました。

日本では2023年の刑法の性犯罪規定の改正の際に、16歳未満の児童への「面会要求罪」や性的姿態撮影等の処罰に関する法律が成立したものの、その処罰範囲は限られており、実効性に乏しく、今後の日本の制度設計の参考にするために韓国を視察しました。

「デジタル性暴力」深刻化する実態

さて、「デジタル性暴力」という言葉に馴染みのない方もおられるかもしれません。韓国では、デジタル性暴力について、「デジタル機器及び情報通信技術を媒介として、オンライン及びオフライン上で生じる、テクノロジーを介するジェンダーに基づく技術的暴力である。同意なしに相手の身体を撮影する行為、流布する行為、流布すると脅迫する行為、保存する行為、展示する行為およびサイバー空間で他人の性的自律権と人格権を侵害する行為を包括する」と定義して、性的目的のための不法撮影、性的撮影物の不同意流布、通信媒体を利用したわいせつ行為などを「デジタル性犯罪」として処罰化しています。

日本では、昨年、教員らのグループが女児の盗撮画像を共有していた事件が発覚しましたが、とくに低年齢の子どもたちを標的としたディープフェイクポルノ(特定の人物の顔写真を人工知能(AI)の技術を用いて加工・生成したわいせつ画像や動画)やセクストーション(SNS等で知り合った相手に性的画像や動画を送らせ「拡散する」と脅して、金銭やさらなる画像・動画を要求する「性的ゆすり・脅迫」)、子どもたち同士の間でのオンライン上の性的画像の拡散などが増えており、深刻化している実態があります。

日本に求められる法整備と公的支援

韓国では、デジタル性暴力の撮影・加工・頒布・視聴・脅迫のすべての段階を犯罪化し、ディープフェイクやセクストーション、SNS拡散型犯罪に対する法を整備するとともに、国の責務として不法撮影物等の削除支援等をする法律を整備しました。情報通信サービス提供者にも、削除・遮断等の措置を講じる義務を課して、刑事事件としての立件の有無を問わず、国内外の通信事業者の協力をえて、流出した不法撮影物等を通報後24時間以内に遮断・削除する制度構築がなされています。

日本では、処罰範囲が限定されているうえに、通信事業者に削除義務がなく、被害者自身がモニタリングし、削除しなければならず、民間支援団体の活動任せになっているのが現状です。迅速かつ抜本的な法整備・公的支援体制の構築が求められています。

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