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2014年08月01日
性被害・セクハラ
角崎 恭子

刑事事件における被害者参加について  弁護士 角崎 恭子

【一定範囲の事件で、意見の陳述などができる】

本稿では、刑事事件における被害者参加についてご紹介させていただきます。
刑事事件とは、国家が、犯罪を犯した者を処罰するための手続きですが、2008年まで、被害者は、刑事事件の裁判に参加できませんでした。

そもそも、刑事事件では、警察官が、犯罪事実についての捜査を行い、検察に被疑者を送致します。送致を受けた検察官は自らも捜査を行い、起訴・不起訴等を決定します。起訴されると、被疑者は、「被告人」と呼ばれます。

起訴・不起訴は、検察官の判断によりますが、検察官は、裁判で被告人が否認しても、その他の証拠で有罪の認定が得られる見込みが相当程度高くなければ起訴しません。

2008年までは、被害者は、捜査の中で、警察や検察から事情を聞かれたり、裁判の中で、検察官が被告人の有罪を立証するための証人として尋問を受けたりするのみで、自分が被害に遭った事件であるにもかかわらず、目撃者その他の関係者等と同じように扱われてきました。

ですが、現在、以下の犯罪については、被害者が刑事事件手続に参加することが認められています。対象となる事件は、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、強制わいせつ罪や強姦罪、業務上過失致死傷罪、自動車運転過失致死傷罪、逮捕及び監禁罪、各種の略取誘拐罪等です。

被害者参加を行うと、被害者参加人は、公判(裁判)期日に出席したり、証人に対して尋問を行ったり、被告人に対して質問を行ったりすることができます。ただ、これらは、無制限に行えるものではなく、所定の手続きが必要ですし、例えば、証人に対する尋問は、犯罪事実に関する事項は認められず、情状に関する証人の供述の証明力を争うための事項に限られます。

刑事事件の裁判では、立証が終わると、検察官が、「論告・求刑(被告人に科すべき刑罰の種類・程度について検察官が行う最終的な主張・求刑)」を行いますが、被害者参加人も、一定の範囲について、事実又は法律について意見の陳述をすることができます。

また、被害者参加人は、検察官に対し、事件について刑事訴訟法の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができます。検察官は、権限を行使し又は行使しないこととしたときは、必要に応じ、その理由を説明しなければなりません。

その他、上記被害者参加制度とは別のものですが、被害者は、被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述を行うこともできます。これは、犯罪についての事実認定の証拠にはなりませんが、情状面での証拠として扱われます。

【被害者の申し出が必要。弁護士にご相談を】

被害者参加は、弁護士を通じて行うことができますし、十分な資力がない場合には、国の費用負担によって、弁護士をつけることもできます(国選被害者弁護士制度)。

他にも、被害者のための制度として、被害者の証人尋問の際、被害者と被告人や傍聴人との間の遮蔽を行ったり、ビデオリンク方式による尋問(別室にいる被害者と法廷を映像で結ぶ方式)を行ったり、付添人を付けたりすることもできます。遮蔽とビデオリンク方式、付添人は、併用することもあります。

刑事事件は被告人に対する処罰を決めるための手続きですので、通常、被害者が、被害について被告人に対して損害賠償を請求しようとすれば、別途、民事訴訟を提起する必要があります。ですが、損害賠償命令制度の利用により、刑事裁判を行った裁判所に、引き続き損害賠償の審理をしてもらうことができます。この手続きは、被害者の申し出により、刑事裁判が終了した後おおむね4回以内の審理で結論を出すため、通常の民事裁判よりも簡易・迅速です。ただ、この制度は、被害者参加制度と異なり、過失犯は対象外ですので、ほとんどの交通事故で利用できません。

以上が被害者参加の概要ですが、被害者参加は、被害者が申し出ないことには行うことができませんので、ご自身で参加をすることが難しいと感じられる場合には、弁護士に相談をすることも有益であると思います。

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