menumenu
電話アイコン

06-6947-1201

受付時間 平日9:30~17:30

お問い合わせ・ご予約はこちら

ニュースレター

2014年08月01日
結婚・離婚子ども
雪田 樹理

母子生活支援施設にもっと支援を  弁護士 雪田 樹理

【困難を抱える母子を24時間丸ごと支える生活の場】

母子生活支援施設は、児童福祉法に基づいて設置されている、文字通り「母子」で入所する施設です。法律は、母子を「保護する」、「自立の促進のために生活を支援する」、「退所した者についての相談や援助を行うこと」を目的とすると定めています。

全国で255施設、およそ3600の母子世帯が、DVから避難したり、住居がないなどの事情で入所しています。一般にはあまり知られていませんが、事務所に相談におみえになるDV被害者の方には、利用されている方が少なくありません。私たち弁護士は、日々、施設の支援に支えられて、DVや虐待の後遺症から回復し、やがて自立していく姿を間近で見ています。

とは言っても、私自身、母子生活支援施設の中での生活を、知っているようで知らないままでした。一体、どのような生活が保障されているのか。大阪弁護士会の貧困・生活再建問題対策本部の「女性と子どもの貧困部会」に提案して、母子生活支援施設の実態調査を行いました。2011年、大阪府下の10カ所(現在9カ所に減少)の母子生活支援施設の協力を得て、アンケート調査を実施し、各施設の訪問もさせていただきました。2013年秋には、調査結果をまとめたシンポジウムを開催し、今年も引き続き、施設訪問を行っています。

母子生活支援施設では、暴力や虐待などの被害を受けた母と子が、心や身体の病気、生活上の困難、子育ての不安、経済的な困窮、親子関係、離婚問題などを抱えながら生活しています。このような困難を抱えている母と子を、24時間丸ごと支えている生活の場であるからこそ、重要な役割を果たすことができることを、今回の取り組みを通じて実感しました。心身ともに弱っている女性や社会的な困難を抱えている女性への支援は、女性へのエンパワメントになりますが、同時に子育ての支援でもあります。そして、そのことは児童虐待の防止にもつながっているのです。

 

【もっと手をかけ、お金をかけてほしい】

しかし、このような有意義な施設でありながら、職員の熱意だけでは克服できない、たくさんの課題があることがわかりました。まず、施設の問題です。中には現代的なマンション風の施設もありますが、多くは建物が古く、居住スペースは個室でも、トイレやお風呂・調理場が共同になっていたり、狭くて使い勝手の悪い部屋、薄い壁、建物の老朽化など、建物の構造上の問題が目立ちました。DV被害を受けて、心身ともに健康を害しているのに、こんな窮屈で殺風景な部屋では、ゆっくりと心を休めることができないのではないか、と思わずにはいられない所もありました。

そんな施設では、職員が働くスペースや部屋の確保にも苦労しておられるようでした。また、施設長までもが非正規雇用であるなど、職員の身分保障が十分でない、常勤の心理療法担当職員が配置されていない、精神科や心療内科との連携がない、職員が専門性を身につけるだけの余裕がない、退所者支援になかなか手が回らないなどの課題もあります。法の目的が達成されているとはいえず、施設間の格差もありました。

平成23年に児童福祉施設最低基準が引き上げられ、また、平成24年には厚労省が母子生活支援施設運営指針を出して、各施設の支援機能の充実を求めていますが、それに見合うだけの物的人的基盤を整備するのに十分な予算措置がとられていないのが現状です。民間の社会福祉法人が設置・経営している施設と、市町村が設置・経営している公設公営の施設と、市町村が設置して社会福祉法人が経営している公設民営の施設との3種類ありますが、全国的にも、また大阪でも、大阪市をはじめ、市町村が設置している施設のお粗末さが目立っています。

母子生活支援施設は、さまざまな困難を抱えている母子への子育て支援施設として、重要な役割を果たすことのできる施設です。国や自治体には、もっと手とお金をかけて、もっと多くの母子のために役立てていってほしいと思います。

Contact Us

お問い合わせ・ご予約

まずはご相談ください。

電話アイコン

お電話でのお問い合わせ・ご予約

06-6947-1201

受付時間 平日9:30~17:30

メールアイコン

メールでのお問い合わせ・ご予約

ご予約フォーム
ページトップへ