一般論として、DV対策としては、①DV被害者支援、②DV加害者教育プログラムを含む加害者対策、③DV環境に育った子供への支援、④DV予防教育などの各方面を充実させて総合的に対処することが必要ですが、日本では①以外が全く不十分な段階です。そこで私は④に力を割いてきましたが、今後はDV加害者教育プログラムにもかかわっていきたいと思い、2014年度から大阪駅の近くで始めています。名前はNOVO (ノボ、「非暴力ルーム・大阪」NO VIOLENCE ROOM OSAKA)といいます。「NO暴力のノボ」と覚えてくだされば覚えやすいです。検索してもらえれば、HPが見つかり、相談のメールアドレスや電話番号がわかります。
NOVO HPアドレス
http://www.novohibouryoku.jimdo.com/
DV加害者プログラムの必要性については、日本では十分な議論がなされておらず、その中で、「加害者は変わらない」「加害者プログラムは効果がない」「予算や人手が少ない中で、被害者支援に力を注ぐべきで、加害者に予算やエネルギーを使うべきでない」「加害者プログラムは、加害者を擁護する面があり、被害者の立場と対立し、有害である」といった意見を持つ人が一定数います。
たしかに加害者プログラムを受けたからといって、ほとんどの人が暴力を振るわなくなったということは残念ながら言えないと思いますが、それは、人間はなかなか変わらず、DVはいじめ加害者や依存症患者などと同じように根深い問題であるから当然なのであり、一部でも変化したなら意義はあったとも言えると思います。
変化していく加害者がいるのは事実であり、加害者プログラムによって毎週毎週チェックすることで暴力を振るわせないようにすることには意義があります。過ちを反省し、愛する者を失いたくないと願い、変わりたいと思う加害者にセカンドチャンスを与えるためにも、加害者プログラムは必要です。
被害者のニーズとしては、「DV被害をうけたが『別れる』『離婚する』までは考えずに、パートナーに反省してもらい、変わってほしいと思う」というようなものが少なからずあります。別居している中で、離婚はしないが、生活費や養育費をきちんと支払い、恐怖心を与えないような態度と距離で結婚という形態を継続することを望む人もいます。恋愛でも別れる気はないという被害者は多くいます。
若い人は更生可能性が相対的に大きく、また加害者は、また次の人にも同じことをしていくのですから、予防教育も、加害者教育プログラムも必要です。
以上の趣旨で、被害者のニーズに応える加害者プログラムを始めました。始めてみると実際は本当にケースバイケースですが、事実上の被害者支援を同時に行いつつすることになるケースもあります。被害者にカウンセリングや相談先、弁護士などを紹介すると同時に、被害者から日々の状況を聞き、問題を整理し、対応策を共に考え、それを踏まえて、加害者に理解してもらう点をピンポイントで指摘していくことができます。加害者の個人カウンセリング的な状況になる面もあります。話を聴きつつ、問題を整理し、ゆがんだ考え方を修正していってもらうことになります。調停や裁判で被害者に不利になるようなことには加担しないように注意しています。
被害者の安全やニーズを満たすためにも、NOVOのようなところがあることを多くの方に知ってもらえればと思います。