menumenu
電話アイコン

06-6947-1201

受付時間 平日9:30~17:30

お問い合わせ・ご予約はこちら

ニュースレター

2007年01月30日
結婚・離婚子ども面会・養育費
有村 とく子

家庭裁判所シンポに参加して 弁護士 有村 とく子

【ドイツでは離婚後も親が子を「共同配慮」】

日本の民法は、両親の婚姻関係が続いている間は、子どもは父母の「共同親権」に服し、両親が離婚する際には、父母のどちらか一方が「親権者」となって、その「単独親権」に服するという仕組みをとっています。そのため、未成年者のいる夫婦の離婚事件では、親権をめぐって両者の対立が激化しがちです。また、親権者にならなかったもう一方の親が、子どもと会う(面接交渉)ことや、養育費の支払い等についての明確な規定がないため、離婚後も紛争の火種が残ることもよくあります。

先日、日本弁護士連合会主催のシンポジウムに参加しました。「離婚と子ども-子の親権・監護法制の現状と展望」というテーマで、諸外国の家族法制との比較や、離婚の際の子の「親権」「面接交渉」「子の引き渡し」をめぐる紛争の実態に関するアンケート結果、海外調査(ドイツ)結果を聞いてきました。日本の民法と類似した法体系のドイツでは、「親権」という概念は1980年の法改正で廃止され、「親の配慮」という言葉に変わりました。そして、日本のように、離婚時には例外なく父母のいずれか一方に「親の配慮」は「単独で」帰属するとされていたのですが、1998年の法改正では、離婚後も原則として父母が「共同配慮」することになりました。

離婚後の子どもの監護について、このように父母が「共同」で行う制度を取る国は、アメリカや中国、フランスなど多くあり、非監護親との面接交渉は子どもの利益になるとして、実施されるのが原則となっていて、そのための支援体制も普及しています。また、子どもが未成年の間は、非監護親が養育費を支払うのは親として当然の責任だと考えられています。養育費を支払っているのだから面接交渉させるべきという発想にはなってないのです。

【何が「子どものため」なのかを見極めたい】

第2部のパネルディスカッションでは、子どもと会えなくなった親(多くは父親)をサポートするグループのひとつ「ファーザーズウェブサイト」の代表者(男性)や、「母子家庭共和国ウィンク(ネーミングが凄い!)」の代表者(女性)から、子どもに会いたくても会わせてもらえない親のつらい気持ち、あるいは、養育費も支払わず、子どもに会おうともしない親のことを子どもはどうみているかなど、当事者ならではの発言が印象的でした。

子どもにとって両親の離婚は、自分の努力ではどうすることもできません。それだけに、子どもに与えるダメージは最小限に留めたいものです。諸外国の例にならって、離婚後に「共同親権」を選択することができる、とする法制度を我が国で作ることを検討されてもよいでしょう。ただ、それはあくまで「対等な立場で話し合って解決できる人同士」でのこと。相手より常に優位に立とうとして譲らない人との「共同」や、DV体質の相手との「共同」は、子育てには却って障害になります。

離婚をめぐる親権や監護についての法整備が「子どものしあわせ」のため、という視点から進められるべきことは言うまでもありません。一番難しいのは、何が「子どものため」なのかをケースバイケースで見極めることです。離婚をネガティブに捉えず、これをきっかけに子どもの健やかな成長のために、お互いが親としてどう関わっていくかを冷静に話し合うことが大切だし、それが大人の責任だと思います。

また、子どもは「社会の子」としてみんなで大切に育てていこうという共通認識のもとに、色んな人が愛情豊かに子どもの成長を助けていける社会であって欲しいと思います。そうすれば、子どもへの虐待やいじめの問題も解消されていくのではないでしょうか。

Contact Us

お問い合わせ・ご予約

まずはご相談ください。

電話アイコン

お電話でのお問い合わせ・ご予約

06-6947-1201

受付時間 平日9:30~17:30

メールアイコン

メールでのお問い合わせ・ご予約

ご予約フォーム
ページトップへ