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2003年01月20日
子ども仕事・労働性差別・ジェンダー

元裁判官の子育て日記 平野 哲郎(龍谷大学法学部助教授)

息子と妻をつなぐへその緒を助産婦さんに渡されたはさみで「ジョッキン」と切ったときから僕の子育てが始まった。当時、僕は大阪地裁で裁判官をしており、妻は滋賀医大医学部2年生だった。二人とも忙しい上に、どちらも実家は遠い。どうやって子育てをするか、考えた末の結論が僕の育休だった。理由は、自分がヘルパーではなく責任者として育児を担当するというスタートを切れば、育休の間はもちろんその後も育児についての意識が違ってくるのではないか、そしてそれが良好な父子関係を築く基礎になるのではないかと思ったからである。実際、子育てを終えた人たちの話を聞くと、育児に積極的に参加していた父親はその後も子供と良い関係を保っているのに対し、そうでない場合は溝ができてしまう例が多いようだ。

さて、妻が妊娠して、上司に「育休をとりたいのですが..」と切り出したが、反応ははかばかしくなかった。仕事中心主義の価値観で生きている人には、男が仕事を二の次にして育児をするとは何事か、責任感欠如も甚だしい!ということなのだろう。

反面、女性陣からは大いに励まされた。理想的な夫像とほめちぎられたと言ってもよい。これも嬉しいことは嬉しかったが、女性がしたら当たり前のことが男性というだけでえらく持ち上げられるのは不公平ともいえる。

僕たち夫婦はお互いができるときにできることをするという家庭内ワーク・シェアリングをしているだけである。「男は外、女は内」と役割を固定してしまうと、男性は生活能カがなくなり、女性は経済能力を失う。そうすると、いざ必要が生じて家庭内でワーク・シェアリングをしようと思っても無理である。

育休を「出世に不利」というような考えで取得しないのは視野が狭すぎる。夫婦がもたれあわず、互いに社会人としても家庭人としても独立している夫婦関係を作るチャンスととらえるべきではないだろうか。

育休をとることについて、キャリアという面から「もったいない」という感想を言う人は多かった。しかし、僕からすると仕事漬けで子供の顔を見るのは寝顔だけという方がよっぽどもったいないと思う。自分が職場で必要とされていると感じることは自尊心を満足させてくれる。仕事にやりがいを求め、打ち込むのも決して悪いことではない。しかし、これらのために自分の時問や家族との触れあいがなくなってしまったら、少なくとも僕は幸せとは感じられない。

もちろん、育児は毎日楽しいことばかり、といえば嘘になる。育休中、果てることのないおむつ交換、炊事、洗濯、掃除等々に追われ、徒労感に襲われたこともある。妻が試験期間で忙しいとき、昼間見たテレビやホームページの話を疲れて帰宅した妻に立て続けにして、うるさがられたこともある。たまには育休の「休暇」もないと煮詰まってしまう。それでも、子供を持って、育休をとって本当に良かったと思う。抱っこしたときの満面の笑顔を見ると本当に子供からエネルギーをもらうという意味が実感できる。

この半年の経験はきっと一生の財産になるに違いない。是非、一人でも多くの男性にこんな体験をしてほしいと思う。

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