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2002年09月16日
子ども性差別・ジェンダー

リレーエッセイ 熟年パパの子育て奮闘記 岡田 健三

「女もすなる育児というものを、男もしてみんとてするなり」。紀貫之の「土佐日記」の冒頭をもじって言えばこうなるだろうか。50歳を過ぎてまた父親になった私は長年勤めていた新聞社を早期退職し、子育てに専念した。その奮闘記を綴った『熟年パパ』をこのほどささやかな本にした。

 

「家事や育児なんて、新聞社の仕事に比べれば楽勝や」。内心、そう高をくくって、娘さくらの面倒を引き受けたが、現実は甘くなかった。私は大学卒業と同時に結婚し、いつの間にか2男1女の子どもが出来ていた。上の息子が中学生になるかならない時に家を飛び出し、その後離婚した。もう子どもをつくることはあるまいと思っていたら、再婚した妻が娘を出産した。

正直に言って、子育てがこれほど面倒臭く、しんどいことだとは思わなかった。泣きじゃくるだけではない。高熱を出すし、けがもする。一寸先の予定も立てられないのだ。識者は「心ゆくまで子どもを遊ばせなさい」とよく言う。しかし、買物や洗濯、掃除と一日中家事に追われていると、子どもをゆっくりと遊ばせるゆとりなど出てこない。「そんなことを言えるのは、子どもの世話をしたことがない人でしょう」と若いお母さん。そうでなくとも、日差しの強い日や寒風の吹く日に公園にいるのは苦行にも等しい。「孫を公園に連れて来るのは夕方」「冬の間は家に閉じこもっている」と孫の守りをしている祖父母達は口をそろえる。

最悪の事態は、娘とじっと家にいる時だった。わけもなく泣いたり、おもちゃを出しては散らかしたりすると、ついかっとして手が出てしまった。子どもを虐待して殺すという痛ましい事件が後を絶たない、というニュースがよみがえった。「何でそんなひどいことを」とその時は他人事のように思ったが、実は自分もそんな親のひとりではないかと身震いした。そんな中で、救いのひとつはグループ保育。公園などで顔なじみになったお母さん達が自発的に始めた。零歳児の赤ちゃんから幼稚園に行く前の3歳児までの幼児が、母親と一緒に団地の集会所に集まって思い思いの時間を過ごす。よだれや鼻を垂らした乳幼児と若いお母さんばかり。私は最初たじろいだが、何度か行くうちに溶け込んだ。ひとりのお母さんが「子どもとずっと家の中にいると気が変になりそうで、つい手が出てしまうこともあります」と言うのを聞き、随分気が楽になった覚えがある。その後、娘をやっとのことで保育園に入れることが出来、やれやれという気分になった。

少子化が声高に叫ばれているが、何と言っても保育所の充実が先決ではないか。同時に、親たちが手をつなぐ環境をつくることも欠かせないと思う。当然、男性が育児に加わることも不可欠だ。いや、子育てをすることで新しい発見があるし、男が人間に生まれ変わるチャンスでもある。図らずも熟年パパとなった私の実感である。


「熟年パパ」をご希望の方は、2200円(税込み定価と送料)を現金書留か郵便振替(00190-7-45321)で、〒106-0044東京都港区東麻布3-3-4 暮しの手帖出版サービス(TEL03-3583-4626)へ。

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