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ニュースレター

2016年01月01日
仕事・労働裁判事例
有村 とく子

「マタハラ進化系」事件のその後      【弁護士 有村 とく子】

【保育所の送迎に支障のある勤務を命じられて】

関西の名だたる鉄道会社で働くA子さんは、二人目の子どもを妊娠中から業務量を減らしてほしいと願い出ましたが受け入れられず、上司からは「いつになったら辞めるのか」と何度となく言われました。出産後に育児休暇を取り、職場復帰後は育児時短制度のもとで事務仕事に従事していたところ、子どもが満3歳の誕生日を迎えた途端、朝8時から夜9時までの時間帯での不規則勤務(駅改札業務)を命じられました。これでは保育所の送迎ができない日がどうしても出てきます。

そのため、会社の上司に保育所の送り迎えができる勤務時間帯にしてもらえるよう申し入れたのですが、居並ぶ5人の男性管理職から、「皆、事情抱えてるやん、そんなん。あなたの都合で勤務できへん」「個人的な事情で特別に便宜図るいうのは無理やわ」「家庭の事情は色々ある、僕は両親の介護のために嫁さんに会社辞めさせましたよ」「24時間保育の保育所をちゃんと探したのか」「(子ども持ちながら働くの)難しいな。うちの嫁はんも辞めやったけどな」「今はそういう世の中や」などとパワハラ発言を受けて、勤務シフトの変更には応じてもらえませんでした(昨年のニュースレター冬号でご紹介)。

私たちは、早期の解決を目指して2014年11月下旬から会社と交渉を始め、大阪労働局の雇用均等室にも紛争解決援助を求めて相談に行きました。しかし、会社は、A子さんを特別扱いすることはできないとの理由から勤務時間帯の改善には応じないという姿勢を崩しませんでした。労働局の雇用均等室に至っては、育児介護休業法で使用者に課せられているのはあくまでも「努力義務」であり、会社が努力しているといえばそれ以上のことは言えないなどと、会社の代弁者のような応対に終始し、援助はできないとA子さんを突き放しました。

 

【実効性のある法制度が必要】

そこでA子さんは、意を決し、大阪地方裁判所へ配転無効の仮処分の申し立てをしました。2015年2月17日のことです。私たちは、彼女への配転命令が業務上の必要性を欠くとともに、この命令によってA子さんが子育て上の重大な不利益を被ること、会社の命令は、子どもの養育に対する配慮を全く欠いたものであり、育児介護休業法26条に違反していると主張しました。当方の主張を真っ向から争う会社との間で何度か主張をたたかわせるやりとりがありましたが、夏頃から和解協議に移り、解決に向けて調整が進んでいます。

厚生労働省は2015年11月、妊娠や出産を理由にした職場での嫌がらせである「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」の実態調査の結果を発表しました。それによれば、妊娠等を理由とする不利益取扱いの経験率は派遣労働者で48.7%、正社員で21.8%と報告されています。

A子さんのケースのように、マタハラは、妊娠中だけではなく、出産後も続きます。マタハラを横行させないために、実効性のある法制度が必要です。

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