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2016年08月30日
結婚・離婚
乘井 弥生

離婚慰謝料500万円は高すぎる?       【弁護士 乘井 弥生】

「慰謝料500万円は高すぎる。訴訟になるとこんなに高くなるとは思えないので、弁護士に相談するなどしてもう一度考えて次回調停に臨むように相手方(夫)に伝えました。これは評議をした裁判官の指示によるものです。」

調停の冒頭、調停委員からこの説明を聞いたとき、私と依頼者(妻)は「はぁ?!」と驚きました。

その前の回の調停期日で、相手方(夫)が、依頼者(妻)の慰謝料請求の総額500万円を受け入れ、次回までに分割払いの具体的方法を考えてくるという進行で臨んだ調停の冒頭の出来事だったからです。

「当事者双方が500万円で納得しているのに、裁判所が『慰謝料の相場』を持ち出してこれを下げさせるんですか?」思わず、私は、口にしました。

離婚の相談を受けるとき、よく聞かれる質問に「離婚慰謝料の相場って、いくらぐらいなんですか?」というのがあります。一口に離婚といっても離婚に至る経緯はさまざま。客観的にいくらが妥当だなんて簡単に言えるはずはありませんが、大体の「相場感覚」はあります。50万円から300万円くらいで落ち着いているケースが8〜9割ではないでしょうか。

そんな経験知を「相場感覚」というのであれば、前述した裁判官の「慰謝料500万円は高すぎる」との感覚も私たちと同じなのでしょう。

でも、でもですよ。当事者が納得して合意している金額をわざわざ下げる方向で裁判所が介入する必要があるのでしょうか?「長期分割でもいいので500万円を慰謝料として払って欲しい。」と一方当事者が言い、他方当事者が「わかりました。払います。」と了解し、それを調停の合意事項とすることは、社会正義に反するとでもいうのでしょうか?

依頼者の了解を得た上で事案の概要を少しだけ説明します。若い夫婦。妻の妊娠中に夫は職場の女性と不貞。不貞を咎められた夫が「逆ギレ」して包丁を振り回し、妊娠中の妻の身体2箇所(胸部、上腕)に傷跡を残す傷害を負わせ、ほどなく別居。別居後妻は出産を経て、離婚調停申立てに至ったという事案です。

慰謝料の高さ低さの傾向として、「婚姻期間が短く、年齢が低いほど低い」ということはあります。この事案では結婚期間は2年弱。若い夫婦でしたから「相場」は低くなったのでしょう。けれども、乳児を抱えこれから1人で育てていく困難さや、身体の外貌に2箇所も傷跡を残すような傷害事件が起こっているのです。彼女はノースリーブの服を着るたびに包丁で切り付けられた時のことを思い出すでしょう。

妊娠中の女性に包丁を振り回した行為は、もし傷つけた場所が違っていたら胎児にまで影響したかもしれない危険極まりない行為です。相手方がとるべき責任は重いし、慰謝料500万円の合意が不当なものだとは、私は思えませんでした。

さて、調停委員会から「500万円は高すぎる。あなたも弁護士に相談に行ってもう一度考えてきてください。」とのサジェスチョンを受けた夫は、案の定、500万円を撤回して300万円しか払えないと回答をしてきました。

 

離婚慰謝料500万円は高すぎる?皆さんはどう思われますか。

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