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2016年08月30日
LGBTs
雪田 樹理

『LGBTsの法律問題Q&A』を出版しました   【弁護士 雪田 樹理】

【「LGBTs」に込めた思い】

この6月、『LGBTsの法律問題Q&A』を出版しました。

この本は、私が座長を務める大阪弁護士会人権擁護委員会の「性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム」のメンバー14名が、約1年かけて議論し、執筆したものです。

「LGBT」は、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(女性も男性も性的対象となる人)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字をとった用語で、一般にセクシュアル・マイノリティの総称として用いられていますが、性のありようは多様で、LGBTに限られるものではありません。そこで、すべての人のセクシュアリティが人権として尊重されるべきという思いを込めて、「LGBT」に複数形のsをつけた題名の書籍にしました。私達執筆者が発しているメッセージが、広く社会に伝わってくれたらと願っています。

 

【LGBTに関する取組みの広がり】

さて、2013年7月に近畿弁護士会連合会人権擁護委員会の夏期研修会で「セクシュアル・マイノリティを取り巻く現状と課題」をテーマに取り上げて以降、大阪弁護士会で、人権擁護委員会の中に上記のプロジェクトチームを立ち上げて活動してきました。専門家等を講師に招いた研修を行い、よく学んだうえで、昨年4月からは、月1回ですが(第4月曜日16時〜18時)、「LGBTsのための電話相談」(06−6364−6251)を始めています。

この3年間の間に、弁護士会だけではなく、社会的にもLGBTへの取組みが進み、大阪市淀川区役所が「LGBT支援宣言」を出したり、東京都渋谷区が「同性パートナーシップ証明」の発行を認める条例を成立させたり、他にも世田谷区、宝塚市、伊賀市などでも同様の動きがあるなど、地方自治体レベルでのセクシュアル・マイノリティの人権保障に向けた取組みが始まっています。また、一部の企業がダイバーシティの取組みの一つとして、LGBTの採用や働きやすい職場作りに積極的に取り組み始めており、ここ数年で急速に人権問題としてのセクシュアル・マイノリティの認知度が高まってきているように思われます。

 

 【多彩な法律相談Q&A】

セクシュアリティは、人の人生・生活の根幹をなすため、そこから生じる法律問題は、その人の一生のトータルにわたって生じてきます。例えば、一緒に生活している同性のパートナーが交通事故に遭って救急搬送され、緊急手術が必要と言われたが、「家族ではない」という理由で同意書に署名することができなかったとか、戸籍上は男性だが女性として社会生活を送っているトランスジェンダーの学生が、性別変更の手続き(「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」による戸籍上の性別変更)を行っていないが、就職活動をする際に履歴書に女性として記載しても問題がないのかなど…さまざまな場面でセクシュアル・マイノリティであるがゆえの困難や問題に直面しています。

この本では、カップル・パートナーシップ、家族・子ども、医療、労働・社会保障、社会など多岐にわたる事柄に関して、法律相談の形式(Q&A)によって、現状での解決策を示し、そしてこれからの課題も提起しました。

セクシュアル・マイノリティに関する法律実務書としてはおそらく「初」ということもあってか、売行き好調です。皆さまも、是非、お手にとってくださいませんか(LABO発行。1500円+税)。

当事務所では角崎弁護士と私、雪田が執筆しています。

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