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2016年08月30日
平和・人権

リレーエッセイNo.30 「参院選と憲法」   -大阪国際大学准教授 谷口 真由美-

7月に行われた参議院選挙、有権者であるみなさまは投票へ行かれたでしょうか? 新たに18・19歳が有権者の仲間入りをした初めての選挙でしたが、私の本務校である大阪国際大学と、非常勤先である大阪大学の学生さんたちに、「選挙に行った?行かなかった?その理由は?」とたずねてみたところ、おおよそ半分が行った、半分が行かなかったという結果になりました。

ただ、1回生で下宿生の多い大阪大学の場合、住民票を移していない学生さんが多く、なかには、「成人式まで住民票を移したくない」というコメントもあり、その視点は私にはありませんでした。自治体によって違うようですが、住民票を移していなくても投票ができる事前の手続きがありましたが、煩雑だったようです。なんと、選挙に行かなかったうちの約8割以上は、下宿生でした。また、国籍などの理由で有権者でない学生さんたちのコメントには、「一体どれだけの人たちが、憲法が改正になるかもしれないという認識で投票したのだろうか?」とありました。

今回の選挙の争点として、政権側は「経済」を打ち出していました。アベノミクスは道半ば、それでも景気は回復基調にあり、有効求人倍率などもあがっていて、引き続き頑張っていきたいというものでした。私の周りには、アベノミクスで恩恵を受けている人がほぼ皆無であること、また有効求人倍率がいま増えるのは団塊の世代の方たちが引退する時期にきており、労働力が単純に減っているからという指摘もみられますので、とくにアベノミクスの恩恵がいきわたっているというわけでもなさそうです。

参院選の中盤頃からは、「改憲勢力3分の2に迫る勢い」とマスメディアが報じ始めました。そんななか、参院選直前の7月5日付の高知新聞に、こんな話題が掲載されていました。「【参院選土佐から】改憲への「3分の2」高知で83%意味知らず」。曰く「今選挙を注目の『3分の2とは?』今度の参議院選挙は、憲法改正に前向きな勢力が『3分の2』の議席を確保できるか否かが一大焦点となっている。結果いかんでは、戦後政治、人々の暮らしの大きな転換となる。が、この『3分の2』」の意味や存在、有権者はどの程度知っているのだろうか。高知新聞の記者が2〜4日に高知市内で100人に聞くと、全く知らない人は5分の4にあたる83人、知る人17人という結果が出た」というものです。

この記事に書かれていた、「3分の2」を知らない人が83%いるという指摘は、私が各地で講演をしていて感じている実感と非常に近いものがあります。そもそも、今回の選挙で投票をした人たちのなかで、憲法が隠れた争点であったことを認識しておられなかった方の数字とも近いものがあるのではないかと思います。イギリスのEUからの離脱後に、インターネットの検索語の上位を「EUとは?」の類が占めましたが、参院選後にも「3分の2とは?」が上位にきていました。選挙が終わってから調べるのではなく、選挙前に調べておいて欲しいと思わずにおられませんでした。

2年前にヒョウ柄の表紙の『日本国憲法大阪おばちゃん語訳』(文藝春秋)を出しましたが、おかげさまで最近はやりの「重版出来」が何度もかかっており、ありがたい限りです。今年の6月末には、『憲法って、どこにあるの?みんなの疑問から学ぶ日本国憲法』(集英社)を出版することができました。この出版不況のなか、大手の出版社が「憲法」関連本を次々に出していますが、10年前ならこれは考えられなかったことです。

これから、憲法に関しての議論もたくさん出てくるとは思いますが、護憲や改憲という前に、現行憲法をきちんと知る「知憲」から初めて頂きたいものです。よく知らないものを、良いとか悪いとか判断できませんものね。

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