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2017年07月26日
性被害・セクハラ

知ってください、DFSAのこと  【弁護士 和田谷幸子】

1 DFSAとは

みなさんは、レイプ・ドラッグという言葉を聞いたことはありますか。

Drug Facilitated Sexual Assault (略してDFSA)とは、アルコールや薬物の影響により、抵抗も同意も不可能な状態で、同意なき性行為を強要される犯罪のことで、その犯罪に利用される薬物のことをレイプ・ドラッグと言います。

お酒を飲むと、千鳥足になったり、普段おとなしい人が大胆になったり、普段と違う面を見せることは一般的によく知られています。しかし、アルコールに少量の睡眠薬を加えることで、人の行動を変化させたり、一時的に記憶を欠落させることが可能となることは、あまり知られていないのではないでしょうか。

最近、男性とバー等で普段通りお酒を飲んだ後、突然、意識朦朧となり、レイプ被害に遭ったが、被害時の記憶がない、という女性からの相談は少なくありません。

こういったケースは、SACHICO(性暴力救援センター・大阪)でも複数相談があるようで、先日、性暴力救援センター全国連絡会の第4回全国研修会において「Drug Facilitated Sexual Assault (DFSA)について~レイプドラッグとして医薬品を不正使用する性的人権侵害」と題する講演会が開催され、私も参加してきました。

 

2 旭川医科大学法医学講座 清水恵子教授のお話から

講演会の講師は、旭川医科大学法医学講座の清水恵子教授で、清水教授から、レイプ・ドラッグの具体的効用や犯罪事例、科学的な検証結果等、かなり専門的なお話をうかがうことができました。以下、清水教授のお話を要約します。

まず、「酔っぱらって記憶が無い」という現象は、医学的用語で「一過性前向健忘」と言うのですが、「一過性前向健忘」とは、一時的にある出来事(たとえば飲酒、薬物摂取)の後の記憶は無いけれども、時間が経つと、その人の記憶力は元に戻るという状態のことを指します。このことは、医師ら専門家の間ではよく知られていますが、犯罪者も、少量の睡眠薬で、あるいは少量のアルコールを併用することで、被害者に「一過性前向健忘」が生じることをよく知っています。

そして、先ほどの相談事例にもあるような個々の被害を一般化し共通点を整理すると、①事件前、被害者は自分が被害(レイプ)に遭うことを予測しておらず(というのは、犯罪者は被害者に脅威を抱かせないよう巧妙に話を持ちかけてきます)、②被害者は、飲み物を摂取した後、突然記憶が途切れ(少量のアルコールとの併用により薬物の作用は増強されます)、③被害者は、数時間から十数時間後に気が付きますが、被害時の記憶を思いだすことができず(あるいは、記憶がはっきりしない、断片化している)、④その後、捜査機関等に相談する、という流れを辿ることになります。

 

3 捜査機関等に向けて 

この被害の特徴は、被害者に被害時の記憶が無い(あるいは、はっきり覚えていない)ことであり、事件解決の分かれ道となるのは、まず、この被害者自身が覚えていないという「奇妙な体験」(清水教授のお話から引用)を、捜査機関が信じてくれるかどうかです。

もし捜査機関にDFSAの知識や経験が無ければ、信用してもらえなかったり、立件が難しい、と言われ門前払いされる危険があります。しかし、捜査機関が被害者の訴えを理解し早期に客観的証拠を収集してくれれば、事態は大きく変わります。つまり、レイプ被害に遭ったことが公的に証明され、被害者の人権保護につながります。

一般に性犯罪者は逮捕されるまで犯罪を繰り返すと言われています。このような犯罪を早期に発見することが、市民の生活の安全を守るうえでも重要です。

 

4 被害に遭ったらすぐに相談を

最後に、被害を証明するうえで重要な客観的証拠となるのが、被害者の体内に残された薬物です。犯行に使用される薬物は、少量で、代謝や排泄によって消えてしまうため、なるべく早期に捜査機関等で採尿および採血を行ってもらう必要があります。

万が一、被害に遭われた方は、即時に捜査機関や専門家に相談し、証拠保全を行うようにしてください。

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