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2022年07月29日
DV性差別・ジェンダー本の紹介
角崎 恭子

DV加害者から離れるということ  【弁護士 角崎恭子】

失うことには痛みを伴う

私共の事務所では、日々、DVの被害に遭っている方からのご相談をお受けしています。その中には、加害者から離れることに強い不安を示される方や、いったん避難した後、再度、加害者と共に生活することを選ばれる方もおられます。

継続的にDVの被害を受けていると、「加害者から逃げたとしても、また、連れ戻され、よりひどい暴力を受けるのではないか」「どこに逃げても見つかってしまうのではないか」「もし、自分が見つからなかったとしても、家族に迷惑がかかるのではないか」といった不安を感じることは当然ですし、加害者に見つからないように、用心や工夫をする必要もあります。

ですが、多くのDV被害者の方と接するうちに、私は、冒頭に述べた、「加害者から離れることへの不安」や、「加害者のもとへ戻りたくなる気持ち」は、加害者からの捜索や攻撃への不安とは、また別物だと感じるようになりました。そして、そういった気持ちは、生活の大部分を占めていた関係性を失うことへの怖さや喪失感、加害者とは言え一度は生活を共にした人とのつながりが断ち切られる寂しさに近いのではないかと理解しています。

しんどい相手、怖い相手だとしても、加害者のことばかり考え、機嫌をうかがい、加害者がどう思うかが判断の基準になっていれば、加害者を失うということは、心の拠りどころや支柱を失うことに等しいのかもしれません。どのような関係性であっても、その人を形成する多くの要素の1つであることに変わりはない訳ですので、その一部を失うことには、痛みを伴うのだと思います。

喪失感の引き起こすもの

つい先日、『あなたへのメッセージ 大切なあなたのために 絵と図でみる・知るDV(第1版)』(作成・発行:増井香名子 日本福祉大学准教授)という冊子を読んでいたところ、DV加害者から離れる際に、「『喪失』や『空虚感』を感じるのは当然の反応です。」と説明され、「あせらずに、ゆっくり喪失を埋めていきましょう。」という方針が示されていました。

上記には、「支援者向け活用マニュアル」も付属しているのですが、そこには、喪失を感じることは当然だという知識や、その喪失は、あせらず時間をかけて埋めていくことが必要だという理解がないと、強い不安に襲われ、「喪失を埋めるために、不適切な方法や1つのことだけ(例えば、新しい恋愛や出会いを求める、1人の支援者に頼り切る、子どものことに熱中する、仕事にのめりこむ、他人の問題で頭をいっぱいにする、アルコール・ギャンブル・買い物などで気を紛らせる、など)で満たそうとする」危険があることが指摘されていました。

喪失を埋めるためには

DV被害から避難した方は、最初は、新しい生活をどのようにスタートさせるか、非常に忙しく過ごすことになりますが、その後、喪失感や疲労感に襲われることが多いのではないかと思います。

何をして過ごせばいいか分からない、とおっしゃる方もおられます。加害者のことばかり考えて生活しなければならなかったため、自分のために時間を使うことに慣れていなかったり、罪悪感を覚えたりもなさるようです。

独身時代に、読書や音楽・映画鑑賞、手芸などの比較的再開しやすい趣味を持っておられた方も、興味がわかない、根気が続かない、面白いと思えないとおっしゃることもあります。「喪失は、1つのもので埋めるのではなく、複数のもので埋めていくことが大事」だそうです。

DV被害からの回復過程で、なぜだか分からないけれど、心にぽっかり穴があいたようで不安で落ち着かない、身の置きどころがない、何かしなければならない気がするのに、何をしていいか分からない、というようなときには、上記を思い出していただければと思い、ご紹介いたします。

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