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2023年02月03日
子ども仕事・労働性差別・ジェンダー
有村 とく子

保育所をもっと増やして! 【弁護士 有村 とく子】

働く親に必須の社会資源

4月から無事保育所に預けることができるかどうかの結果通知が、この時期年明け1月中旬以降に届きます。大阪市の場合、利用申込期間は前年の10月初めから2週間、同月末近くには、各保育所の0歳児から5歳児までの募集人数と申込み状況が市のホームページに公表されます。そこで、希望する認可保育所の募集人数に対し何人の申込みがあるかを確認することはできますが、実際に入所できるかどうかは結果が届くまでわかりません。きょうだいが同じ保育所に入所できるとは限らず、下の子が上の子とは異なる保育所に決まったため、保育所を2カ所まわり子どもを預けてから職場に向かう人も実際にいます。

子育て世代にとって、育児休業明けに子どもの保育園が決まっていること、そして、その保育園が自宅と職場からも近い場所にあることは、大きな安心材料となります。

「ポストの数ほど保育所を」。これは、私の母達がかつて取り組んでいた保育所増設を求める運動の合い言葉でしたが、今も、働く親に共通する願いだと思います。とりわけ、配偶者と別居中で幼い子どもを育てている人やひとり親にとって、子どもを安心して預けられる保育所は、働いて生計を維持するために必須の社会資源です。

もっと利用しやすい保育所に

しかし、出産を機に職場を離れざるを得なくなった女性が育児休業を終えて職場に復帰しようとするとき、子どもを保育所に預けられる保証は残念ながらありません。

こんな事例がありました。育児休業中の昨年6月下旬、Aさんは、勤務先から、事業所の閉鎖にともない、9月末日付けであなたを解雇します、という通知を受けました。子どもは1歳。10月に認可保育所の申し込みをし、翌年4月に職場復帰する予定でしたので、いきなりの解雇通知に衝撃を受けます。

急遽、子どもを実家の両親に預けて8月に職場復帰し、転職先を紹介されてとりあえずそこに就職。解雇されることがわかって以降、保育所を懸命に探し無認可保育所を見つけ子どもを預けることができたので、なんとかピンチを免れました。

職場が決まっていなければ保育所の申込みができず、職場が見つかりそうでも、子どもの保育所が決まっていなければ就職できないというジレンマを多くの女性が経験しています。実家その他日常的に子育てをサポートしてくれる人的資源が身近にない人は、どうなるのでしょう。

社会的インフラである保育所を、その地域に住む人の需要に応じてもっと増やす必要があります。そして、就職活動中の人にも保育所利用申込みができるよう資格要件を緩和するなど申込みの間口を広げ、保育所をもっと利用しやすくすべきだと思います。

待機児童は本当に減った?

2022年4月に厚生労働省子ども家庭局保育課が公表した「保育所等関連状況取りまとめ」によれば、保育所等利用定員は304万人(前年比2.7万人の増加) 、保育所等を利用する児童の数は273万人(前年比1.2万人の減少)、待機児童数は2,944人で前年比2,690人の減少 、待機児童のいる市区町村は、前年から60減少して252市区町村、待機児童が100人以上の市区町村は、前年から1減少して3市、待機児童が100人以上増加した自治体は「なし」、とされています。

これらの数字からは、待機児童数は全体として減少傾向にあり、保育所は足りてきているかのようにみえます。

しかし、ここでいう「待機児童」とは、保育所の利用資格があり、入所申込みをしたけれど認可保育所を利用できていない未就学児のことを指します。就職先が見つかっていないために利用資格がないとされる人や、募集のある認可保育所が自宅や職場から遠いなど利用しづらいために、申込み自体を控えてしまう人などは、子どもを認可保育所に預けたいと希望していても、その子どもは国や自治体で「待機児童」としてはカウントされません。

ですから、実際は、多くの子どもが保育所に入所できていない可能性が十分あるのです。

子どもを健やかに育てるためにもっと予算を

女性も主要な働き手として家計を支えている中、共働き世帯は約1240万世帯にのぼり、その数は、片働き世帯(働く夫と専業主婦)の2倍を超えています。出産後、認可保育所に子どもを預けたくても、保育所の数が足りず、希望する保育所に入れないという問題はいまだに解決されていません。

働く女性が増えているにもかかわらず、保育所に子どもを預けることができなければ、子持ちの女性は仕事に行けなくなります。仕事をすることと子どもを産み育てることは、どちらも大切なことなのに、両立できる環境がなければ、どちらか一方を選ぶことを迫られます。その結果、女性が出産に後ろ向きになってしまうことは十分あり得ることです。

国や自治体は、保育所をはじめとする子育て支援事業を充実させるなど、女性が安心して子どもを産み育てることのできる環境づくりや、保育の担い手となる人が専門性を発揮し、心身ともに健康で働き続けられる労働条件の保障に向けた政策をとり、必要な予算を投入すべきだと思います。

人の命を奪う武器にお金をたくさん使うのではなく、子どもを健やかに育てるためにきちんとお金を使う国であって欲しいものです。

 

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