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ニュースレター

2023年08月07日
性被害・セクハラ
雪田 樹理

性犯罪の刑法改正 「不同意性交等罪」が成立・施行されました 【弁護士 雪田樹里】

「同意のない性的行為は犯罪である」

 

昨秋に法務省の法制審議会から出された「試案」について、今年1月のニュースレターで、被害者が「拒絶困難」であったことが要件として求められているという問題を指摘しました。

その後、私たち市民が批判を強め、署名集めをするなどの取り組みを行った結果、3月には「同意しない意思」を中心におき、「性犯罪の処罰の本質は、被害者が同意していないにもかかわらず、性的行為を行うことにある」ことを端的に表わす罪名、「不同意性交等罪」とする法案が閣議決定され、6月16日、刑法改正案が成立し、7月13日から施行されています。

被害当事者や支援者、そして多くの市民の粘り強い闘いが、今回の刑法改正を実現させたことには大きな意義があると思います。

不十分な点はあるものの、強制性交等罪・準強制性交等罪は「不同意性交等罪」になり、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」になりました。「同意のない性的行為は犯罪である」という考え方が社会に定着し、性的人格権を当たり前のこととして大切にする社会に変わっていくことを期待しています。

 

犯罪成立のハードルを下げる8つの例示

 

これまで強制性交等罪が成立するためには、相手の抵抗を著しく困難にさせる程度の暴行・脅迫が必要とされ、犯罪の成立には高いハードルがありました。しかし、今回の改正によって、

「暴行又は脅迫」

「心身の障害」

「アルコール、薬物の摂取」

「睡眠その他の意識不明瞭」

「不同意のいとまがない」

「恐怖、驚愕」

「虐待に起因する心理的反応」

「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮」

という8つの例示とそれに類する行為によって、「同意しない意思を形成し、表明しもしくは全うすることが困難な状態にさせ」または「その状態にあることに乗じて」、性交等やわいせつ行為をした場合には犯罪が成立することになりました。

性犯罪について、起訴しても無罪判決になってしまうことをおそれる検察が不起訴の方針に傾くのではなく、より広い被害者の救済を図る方向に動き出すこと、裁判所も性暴力被害に関する正しい知見のもとで判断することを願っています。

また、今回の改正では、同意のない性的行為は「婚姻関係の有無にかかわらず」、夫婦間でも犯罪となることが明記されました。さらに、性交・肛門性交・口腔性交だけではなく、膣や肛門に身体の一部(手や指など)や物を挿入する行為についても不同意性交等罪が成立することになりました。

性交同意年齢も13歳から16歳に引き上げられ(但し、13歳から15歳は加害者が5歳以上年上の場合に限られ、年少者の保護としては不十分です)、公訴時効も原則5年延長されるなどの改正がなされました。

16歳未満の者に対する「面会要求等罪」という新しい犯罪も新設されました。威迫・偽計・誘惑して面会を要求する、拒否されても反復して面会を要求する、金銭その他の利益供与等をして面会を要求する、性交等や性的部位等の姿態の映像の送信を要求するなど、いわゆる若年者に対するグルーミングが犯罪となりました。

 

スマホで拡散する性被害を防ぐ

 

また、近年、スマホの普及に伴って、安易に性的な撮影が行われ、インターネットを通じて拡散される深刻な被害が広がっていますが、今回、性的な姿態を撮影する行為等を処罰する法律も成立しました。正当な理由がないのにひそかに性的な部位やわいせつ行為や性交等の姿態を撮影する行為を処罰する「性的姿態等撮影罪」が導入されたのです。

性的な映像記録を複写したものを提供等した者も、そのために保管した者も、不特定多数の者に対して性的姿態等の映像を送信する行為をした者も、処罰されることになりました。半永久的にネット上に拡散されるデジタルタトゥーの被害の抑止になるよう、このような行為は犯罪となることを広く知らしめていく必要があると思います。

国際的な人権水準である「Yes Means Yes」の考え方にはまだまだ到達していませんが、今回の改正は大きな前進です。5年後に予定されている見直しに向けて、これからも引き続き、法の運用を注視していきたいと思います。

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