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2024年01月16日
子ども平和・人権
有村 とく子

紙芝居「いくさの少年期」をより多くの人々に  弁護士 有村 とく子

原作は田中幹夫先生の自伝的小説

弁護士登録して間もない頃、大阪弁護士会の人権擁護委員会に所属していた私は、人権救済申立事件の調査を担当したことがきっかけで、調査委員会の主査を務める田中幹夫先生に出会いました。田中先生は、当時、障害者虐待のサン・グループ事件(注i)の弁護団長をされていて、同事件の国家賠償訴訟弁護団へお声かけをいただきました。この裁判は、平成15年に大津地裁で画期的な勝訴判決が出ました。法廷で判決主文を聞いたときの感動は忘れられません。
田中先生がお書きになる訴状や準備書面の文章はみな格調が高く、このような書面を編み出せる弁護士になりたいと憧れの気持ちを抱いてきました。
先生は、2015年12月8日に『いくさの少年期 1941~1945』(文芸社)という自伝的小説を出版されていました。田中先生は、小学4年から中学1年のときに太平洋戦争を体験されていたのです。少年時代に戦争を経験されていたことを私は知りませんでしたし、直接お話を伺う機会もなく、頂戴したご本も、実は「積ん読」になっていました(すみません!)。
出版から8年の時を経て、この本をもとに、奈良在住の作家・寮美千子さんが脚本を書き、画家の真野正美さんが30数枚の絵を描いて、紙芝居ができました。昨年10月、原作者の田中幹夫先生を囲んで、そのお披露目会が開かれました。サン・グループ事件弁護団のメンバーにも案内があり、私も参加して紙芝居の実演を見せていただきました。

長く広く受け継がれていくように

「みなさんは、日本が戦争をしていたことを知っていますか。これは、田中幹夫さんという弁護士さんが子どもだった頃のほんとうのお話です。」
こんな語りから始まる紙芝居、耳にわかりやすい言葉が人の肉声でこの身に届き、描かれている1枚1枚の絵の美しさに引き込まれていきます。やさしく、力強く、お話が進むにつれて迫力が増して行き、胸に迫ります。
私は、今こそ、田中先生の「いくさの少年期」が、紙芝居という芸術作品としても、この先ずっと長く、広く受け継がれていって欲しいと思います。寮さんを中心に、紙芝居「いくさの少年期」出版計画という名で、この紙芝居を日本全国に広めるプロジェクトが立ち上げられています。カンパの募集も始まっています。インターネットで検索するとプロジェクトの進捗を知ることができますし、紙芝居の脚本と絵をFacebookで見ることもできます。関心のある方は是非そちらへアクセスしてください。田中先生は90歳になられています。

      

紙芝居                      書籍

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i 「サン・グループ事件」とは、滋賀県五個荘町の肩パッド製造の民間会社「サン・グループ」(和田繁太郎社長)で起きた障害のある従業員多数への虐待事件。
社長の和田は、昭和55年の開業当初から、知的障害者等を多数雇用し、「一生面倒をみてやる」として入所施設や養護学校(当時)から受け入れ寮住まいをさせ、平成7年に従業員が救出されるまで、長い人で10年以上もの間、暴力・暴言を加え、長時間労働・無償労働を強い、従業員の年金を横領し、精神疾患の治療を受けさせず、寮での劣悪な生活を余儀なくさせる等、数々の虐待を行い、死亡者まで出した。
その間、福祉や労働の各機関には虐待を疑わせる端緒が届いていたにもかかわらず、長年放置されていた。平成7年に従業員が救出され、和田は刑事告発されたが、知的障害者の供述だけでは立証困難として、刑事責任はわずか4件の年金横領のみ(懲役1年半の実刑)に終わった。そこで、従業員16人と遺族が、早期にサン・グループを調査し救出すべき義務を怠った国や県の福祉・雇用の専門機関の責任を問うため、国家賠償訴訟を提起した。
平成15年の大津地裁判決は、知的障害のある原告たちの証言に基づき、和田による数々の虐待の事実を具体的に認定し、県立障害者入所施設、福祉事務所と障害福祉課、労働基準監督署、職業安定所の責任を認めた。同判決は控訴されることなく確定した。

 

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