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ニュースレター

2015年02月01日
結婚・離婚子ども性差別・ジェンダー
乘井 弥生

非婚・未婚・事実婚と子どもたち 弁護士 乘井 弥生

【最高裁の違憲判決】

一昨年(平成25年)の9月4日、最高裁で、婚外子(法律上の用語では非嫡出子)の法定相続分を婚内子(法律上の用語では嫡出子)の2分の1と定める民法の規定を、憲法14条1項に違反し無効であるとの判断が出ました。婚外子差別の最たるものとして、国連の人権機関からも長年、是正勧告されてきた相続分差別が、ようやく司法で決着したわけです。その後、保守系の一部の人たちからの強い抵抗にあいながらも、違憲判断を受けた民法の条項は、立法府である国会によって削除されました。

ところで、相続における婚外子差別の問題は解決しましたが、私たちの社会には、法律婚という形をとらない、あるいはとれなかった人(主に女性)とその子どもに対する偏見、不利益が未だに残っているように思います。

 

【子どもを「正統な子」と「正統でない子」に分けることは許されない】

その一つが出生届において、子を「嫡出子」「嫡出でない子」に区別することを求める戸籍法49条の規定です。嫡出とは「正統」という意味合いをもつ言葉ですから、この世に生を受け、等しく輝く存在であるはずの子を、社会が承認する最初の手続きにおいて、「正統」「正統ではない」といった、一定の価値観に基づく言葉で区別しているのです。

どの子も母の胎内で育まれ、社会の一員として迎えられる存在です。家の「血統」を継ぐ存在といった目線で子どもをみるのではなく、どの子も等しく尊重される存在として扱われるべきであり、法律の規定もそれに沿うものであって欲しいと思います。

 

【未だに残る非婚母子差別】

また、単に言葉の問題に限らず、社会には、法律婚という形をとらない、あるいはとれなかった人に対する不利益が厳然と存在します。その一つが、所得税法における「寡婦控除」の問題です。税法上の寡婦控除は、死別、もしくは離別後、子どもを養育している「ひとり親」に対し、一定の所得控除が受けられる国の税制優遇措置ですが、同じ母子家庭でも、非婚、つまり一度も婚姻届の提出をせず子を育てる母子家庭には適用除外されています。非婚母子だけを除外する合理的な理由が私には理解できません。

母子家庭の貧困はいまや大きな社会問題になっており、同じ母子家庭でも、とりわけ非婚母子家庭は経済的に困難な状況にあります。例えば、平成23年全国母子世帯等調査によると、死別母子世帯の平均年収は256万円であるのに対し、非婚母子世帯のそれは160万円と、同じ母子世帯でも非婚母子は経済的により困難な状況にあります。

にもかかわらず、その非婚母子世帯に税制の優遇措置を適用しないのは、結婚という形で男性の「経済力」をあてにせず子を持つことを選択した女性に、まるでペナルティを与えているに等しく、差別との非難は免れ得ないように思います。

 

【日弁連の意見書】

この寡婦控除の問題は、所得税の問題にとどまらず、課税所得を基に定められる保育料や公営住宅家賃など日常生活に関わる様々な不利益を、非婚母子家庭に課す結果となっています。

日弁連では、昨年1月16日に、「『寡婦控除』規定の改正を求める意見書」を提出し是正を求める意見書を発表しました。地方自治体によっては「みなし寡婦控除」により部分的に不利益緩和がはかられていますが、未だ、抜本的な解決には至っていません。

近畿弁護士会連合会の人権擁護委員会では、今年夏の研修会で、法律婚を取らない人と子どもの問題を取り上げる予定にしています。

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