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2014年01月20日
子ども
有村 とく子

子どもへの司法面接 弁護士 有村 とく子

【子どもの自発的な報告を重視した面接】

犯罪や家庭内暴力、学校でのいじめ等、子どもが被害に遭ったとき、子どもの発達段階に応じた、誘導のない聴きとりをして、正確な情報を得ることは、子どもの安全確保、事件の調査、再発防止の鍵とされています。しかし、わが国では、子どもから事実をできるだけバイヤスのかからないかたちで聞き取る面接法が確立されていない状況です。

そこで、10年ほど前から、北海道大学で仲真紀子教授を中心に、司法の場面でも活かせる正確な情報を得ることを目的とした「司法面接」と呼ばれる面接法が開発され、2007年度から、主として児童相談所の心理司、福祉司向けに司法面接研修が行われるようになっています。私も昨年、北大で仲先生の「子どもへの司法面接」研修を受けてきました。

「子どもへの司法面接」とは、認知・発達心理学の視点を活かした子どもからの事情聴取の方法で、早い時期に必要な情報を客観的に聴取するため、子どもの自発的な報告(自由報告)を重視した面接を原則として1度だけ行い、原則としてビデオ録画するものです。事実の確認、調査を目的とするものであるため、「特定のできごと」「事実」を聞き取ることに焦点が当てられ、面接者は中立でたんたんと姿勢を変えない態度で臨むことが重要とされています。この点が、臨床的な面接(カウンセリング)と明確に区別されるところです。

面接で尋ねることの焦点が違ってくるものの、どの場合にも、最初に子どもとの間で信頼関係(ラポール)を築き、子どもの自発的な報告を聴き、オープン質問(お話して、それから?等)、WH質問(誰が、何が、いつ等)を用いて子どもに多くを語らせる面接法(NICHDプロトコル)は、面接者からの誘導や情報提供を最小限にして、客観性のある報告を得ることに役立つといわれています。

【誘導なしに子どもから事実を引き出す難しさをを実感】

面接は、じゃまな物がない静かな部屋で、面接者と子どもが1対1で、人形や模型などの補助物を用いず、5分×年齢くらいの時間で行い、ノートは面接者とチームを組むバックスタッフが取るかたちで行います。途中でブレイクをはさみ、追加質問を行い、子どもがまだ話していないことを調べて締め括りに移ります。

研修では、4人ひと組のチームに分かれ、面接者、被面接者(子ども役)、バックスタッフの役を順繰りで行いました。聞き役になると、限られた時間の中で誘導なしに子どもから一定の事実を引き出すことが如何に難しいかを実感します。

家族が加害者である場合、性虐待を受けた子どもは外部の人間が加害者であるときよりも開示率が低い傾向にあるとの調査結果が出ているとおり、話したがらない子どもへの対応をどうするかは非常に難しいテーマです。子ども時代に身体的・心理的・性的な虐待を受ける等の逆境的な体験をすると、社会的・情緒的・認知的な欠陥や健康にリスクのある行動、疾病・障がい・社会的問題行動が起きやすいというアメリカの疾病予防管理センターの調査報告も紹介されていました。

こうした被害に遭う子どもをなくすための取り組みとして、子どもへの司法面接法が確立されることには大きな意義があると思います。国レベルでこうした分野の研究開発に力を注がれることを期待します。

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