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ニュースレター

2014年01月20日
仕事・労働
宮地 光子

男女賃金差別と統計学 弁護士 宮地 光子

【中国電力男女賃金差別事件をめぐって】

世界経済フォーラム(WEF)は、昨年10月、世界各国の男女平等の度合いを指数化した2013年版「ジェンダー・ギャップ指数]を発表しました。日本の順位は調査対象136カ国のうち105位。WEFがこの調査を開始した2006年には、日本は80位だったのが、低迷傾向が続き、特にこの3年は連続して順位を下げています。WEFは女性の地位を「経済」「教育」「政治」「健康」の4分野で分析していますが、経済のうち、企業などの管理職に占める女性の比率は9%と136カ国のうち106位の低さです。

昨年夏のニュースレターの中で「中国電力男女賃金差別事件」のことをご紹介しました。この事件において、広島高裁が昨年7月18日に言い渡した判決は、女性社員が男性社員よりも昇格が遅いことを認定しながら、女性社員に管理職に就任することを敬遠する傾向があったこと等を理由に、男女間の昇格格差を男女差別であるとは認定しなかったのです、原告の長迫さんは上告し、事件は最高裁に係属しましたが、差別を、女性の意識を口実にして正当化するこの判決に対して、どんな論理で切り込めば、最高裁裁判官を説得できるのだろうかと、私は悩んでいました。

そんな祈りにワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)主催の講演会「男女の賃金格差の解消はなぜ遅々として進まないのか?」に参加しました。講師は、シカゴ大学の山ロ一男教授で、「真の問題は女性ではなく、日本的雇用慣行にある」と指摘された先生の講演は強く心に残るものでした。そのうえ、先生の講演のあとで、中国電力事件の不当判決のことを報告させていただいたことがきっかけとなって、判決批判の意見書作成を引き受けていただけることになったのです。

 

【差別的な意図が慟いていたことが一目瞭然】

山口先生は、社会統計学の専門家です。作成して下さった意見書は、統計的分析を行うことによって、使用者の差別的意図が推認されることを明らかにするものでした。

中国電力の長迫さんの同期入社の高卒事務系社員の平成13年度の賃金データー(男性83名、女性35名)を例にとって、賃金の高い順にならべると、賃金の高い方から最初の54人はみな男性で、55番目が女性であり、56番目から75番目まではまたみな男性で、やっと76番目に女性がきます。

仮に、男女で昇給の機会が全く平等に与えられていたとしたら、このような男女の賃金分布が起こる確率が、いかなるものになるかを、数式を使って計算しますと、その結果は、1兆の一万倍(1京といいます)分の1の更に177分の1という、限りなく0に近い数字になります。つまり中国電力で実際に生じている男女の賃金分布は、統計的には、「偶然には起こりえない」ものなのです。「偶然には起こりえない」ということは、すなわち、偶然ではない「差別的な意図」が働いたということにほかなりません。

この統計学を駆使した山口先生の意見書に対して、中国電力は、個人の能力差が考慮されていないとして批判をしてきましたが、この点についても、山口先生は、意見書の第2弾で直ちに反論してくださいました。

山口先生の意見書を御覧になりたい方は、当事務所までご連絡ください。

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