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2013年08月26日
結婚・離婚
乘井 弥生

家事事件手続法が施行されました  弁護士 乘井 弥生

【「申請書の写しを相手方に送付しなければならない」と規定】

離婚調停や子どもの監護に関する審判など、家庭をめぐる紛争を家事事件といいますが、この家事事件についての手続きを定めた家事事件手続法が、今年1月1日から施行されています。これまで、家事事件の手続きについては家事審判法に定められていましたが、今般、全面的に見直され、家事事件手続法として制定されたものです。

今回の立法のポイントは、「当事者の手続保障を図るための制度の充実」「家事事件の手続をより利用しやすいものとしたこと」、そして「子どもの意思を家事手続に反映させるための制度の拡充」にあります。ここで詳細を記載することはできませんので、手続き保障を図るための改正の一部に触れてみたいと思います。

これまで、離婚調停を申し立てる場合、調停の申立言は裁判所に見てもらう分を提出すれば足り、相手方に中立言の写しを送付する規定はありませんでした。そのため、調停を申し立てられた側は、呼出の日時と事件名だけしかわからない状態で調停に臨まなければならず、「いったい、離婚原因として何を言われているのか、何を請求されているのかわからない」といったことがありました。

この点、今回施行の手続法では、「家庭裁判所は、手続の円滑な進行を妨げるおそれがある場合を除き、原則として、中立書の写しを相手方に送付しなければならない」と規定され、手続きの保障が図られるようになりました。また、中立書の写しの送付以外にも、記録の閲覧謄写について、当事者からの請求は原則として許可するものと定められるなど、当事者の手続き保障がより図られる内容となっています。

このような改正は手続きの透明性を図り、当事者が主体的に家事手続きに臨むことを促すという面がありますが、他方、裁判所に申述した内容は原則、相手方にそのまま伝わるということですから、別居後の避難先等秘匿情報の管理を要するDVケースでは、被害者や子の安全が守られるよう、これまで以上に注意が必要となります。

 

【今後は条文の解釈や運用に注目を】

このほか、審判手続きにおける改正点として、審理を終結する目を定めなければならなくなったこと、そして、審理を終結したときは、審判をする日を定めなければならなくなったことがあります。例えば、婚姻費用の審判手続きで、主張も証拠も出しているのにどういう事情があるのかわからないまま、裁判所からいつまでたっても審判書が送られてこず、時間的見通しがたたないということがありました。

過去に扱ったケースでも、審判手続きが止まったまま、結局、離婚裁判の方が早く終わり、離婚届を出した後に別居中の生活費を定める婚姻費用の審判が裁判所から送られてくるといった、おかしな事例もありました。審理の終結日、審判をする日を定めなければならなくなったことで、当事者は、今後、進行についての予測ができるようになります。

このように日々の家事事件の実務に影響を与える制度の改正です。条文の解釈はどのようになされるのか、家庭裁判所ごとに運用はどのようになされていくのか、今後もきちんと見ていく必要があります。

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