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2013年08月26日
性被害・セクハラ
髙坂 明奈

セクハラを禁止する法律はない?   弁護士 髙坂 明奈

【いくつかの判決から】

日本の法律で、セクシュアル・ハラスメント(以下、「セクハラ」といいます。)について規定しているのは男女雇用機会均等法(正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)です。しかし、均等法上、セクハラの責任主体は「事業主」であり、セクハラの加害者は責任主体ではありません。日本では、セクハラに関し、均等法以外の立法はなされていません。

2012年10月26日、東京地裁で、プラダの従業員であった原告が、「やせろ」「年をとっている」「醜い」などと言われたことについて、損害賠償請求をしていた事件の判決がありました。判決は、原告の外見に係る言動は、金銭の支払いを慰謝すべき精神的損害を発生させるほどのものと認められないとしています。

私が関わった事件でも、胸の大きさについて冗談を言った、胸を揉むようなしぐさをしたということを認定した上で、飽くまでも冗談であり、社会的に許容される範囲を逸脱し、人格を侵害する違法なものとまでは言えないと判断されたことがあります。また、「君はお酒が強いね。」(原告は、水商売に向いていると発言したと主張していました)と発言したことについて、状況からして原告が水商売に向いている旨の発言であると受け取られかねない発言であったとしながら、発言が一回的で、発言はそれほど悪質なものとは言えないとし、発言は、社会通念上許容される限度を超える違法な人格権の侵害であるとはいえないとされたことがあります。さらに同僚男性から「仕事が遅くなって帰れなくなったら泊めてもらおうかな。」と言われたことについて、当該発言は不適切で、いわゆるセクハラに該当するが、当該発言は1回であり、金銭による賠償を要するほどの違法性があったとは認められないという判決をもらったこともあります。

【セクハラを禁止する立法が必要】

これらの判決によれば、身体による接触行為がない言葉によるセクシュアル・ハラスメントの場合、それが繰り返され(裁判上、繰り返されたと認定され)、悪質であると判断されなければ、違法性が認められず、損害賠償が発生しないことになります。しかし、多くの被害者はそのように思っていません。というのも、言葉によるハラスメントもセクハラになり得る行為として、就業規則や大学内の規則で注意喚起されているからです。例えば、人事院規則10-10では、身体的特徴を話題にすること、卑狽な冗談を交わすことや性的な経験などについて質問をすることなどをセクハラになり得る言動として例示しています。

金銭による賠償を要するほどの違法性があったかどうかについて、裁判所がどのように判断するかは、裁判所に訴えてみなければ分かりません。それは、日本では、セクハラを禁止する法律がなく、裁判所が、その都度、当該セクハラ行為が民法709条の不法行為(故意・過失によって他人の権利を侵害する行為)に該当するかどうかを判断するからです。

今後、セクハラに該当する行為を列挙し、加害者に行為を禁止する立法が必要であると感じます(オーストラリアやトルコではセクハラを禁止する立法が存在します)。そのようにしなければ、セクハラ被害を受けた者は、裁判でどのように判断されるか分からず、泣き寝入りすることになってしまうのではないでしょうか。

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