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2013年08月26日
LGBTs
角崎 恭子

研修「セクシャル・マイノリティを取り巻く現状と課題」のご報告 弁護士 角崎 恭子

【性的少数者が直面する問題とは】

7月6日に、近畿弁護士会連合会(近畿圈の各府県の弁護士会の連合会)人権擁護委員会主催の「セクシュアル・マイノリティを取り巻く現状と課題」という研修会が開催されましたので、ご報告させていただきます。同研修の実行委員長は、当事務所の雪田弁護士で、高坂弁護士と私も、実行委員を務めました。

セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の中には、①生物学的な性と自らが認識している性のありようが異なるトランスジェンダーの方や性同一性障害と診断された方、②性的指向が異性愛ではないレズビアン・ゲイ等の方、③生物学的性が男女の二分になじまないインターセックス等の方等、多様な方が合まれます。

まず、実行委員から、国際的な人権法制や国内における裁判例等の報告、当事者である子どもが抱える問題点の指摘、労働の場で当事者の方が採用や解雇等に際して受ける差別、メディアでのセクシュアル・マイノリティの取り上げられ方の問題点や、ゲイやレズビアン等の方を対象にした性風俗産業と風営法の関係等の報告が行われました。

私は、性同一性障害と診断された当事者の方が受ける医療について、医療のあり方を定めたガイドラインの内容や問題点の指摘の報告に関わりました。このガイドラインに沿って医療を受ける場合でも、保険は適用されません。当事者の方が、通常の生活ができないほどの強い葛藤を解消するため、手術やホルモン療法等によって、身体の外観を自己の自認する性別に近づけたいと思えば、非常に高額の費用がかかりますし、実施している大学病院等はわずかで、非常に時間がかかります。そのため、当事者は、美容整形等を利用しますが、手術の際の急変に対応できる機関ばかりではありません。

【学校の1クラスに必ず数人はいる】

また、現在では、性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律(「特例法」)が制定され、現に婚姻していないこと、現に未成年の子がいないこと、性器等について望む性別に近似する外観を備えていること等、厳しい要件を満たした場合には、戸籍上の性別の取り扱いの変更が可能です。

しかし、この法律は、諸外国と比較すると非常に厳しいものとなっています。

日本の法律では、婚姻は男女間にのみ可能なもので、同性のカップルは、養子縁組や公正証書等でしか、互いの関係を社会的に明らかにできず、医療機関への付添や相続等、多くの場面で困難に直面します。諸外国には、同性間の婚姻を認める国や、婚姻に近い保護を受けられるパートナーシップ制度を設けている国も多くあります。

アメリカ連邦最高裁判所が、今年6月26日に、結婚を男女間のものと規定している結婚保護法(連邦法)の条項が、憲法に違反しているとする判断を行ったことは、ご記憶の方も多いと思います。

基調報告では、ゲイの当事者として活動する東京都中野区議会議員の石坂わたる氏、大阪府立大学大学院教授の東優子氏、京都産業大学法科大学院教授の渡逼泰彦氏が、それぞれの観点からご報告をなさいました。石坂氏からは、子どもの当事者が、自己肯定感を得にくいとのご指摘があり、特に、教職員等が、セクシュアル・マイノリティについて「そういった人もいてね…」等と他人事のように語ると、当事者の子どもにとっては、その場にいてはいけないように感じてしまうという指摘については、私も考えさせられました。

東氏からは、性科学の研究者としての立場から、性的自由の権利としての位置付け等のご報告があり、渡逼氏からは、特例法やパートナーシップ制度について、より深い議論の展開をご教授いただきました。

当事者の方の状況を知る上で、私にとって、研修は非常に有意義なものでした。セクシュアル・マイノリティの当事者は、学校の1クラスに必ず数人はいると言われます。また、当事者であることを打ち明けることも、簡単なことではないのです。家族や親しい友人の中にも、打ち明けれずに悩んでいる当事者の方がいるかもしれません。

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