【「性暴力被害者への法的支援の現状と課題」と題して基調講演】
2012年10月13〜14日の2日間、阪南市で、第15回全国シェルターシンポジウムが開催されました。全国シェルターシンポジウムとは、DV被害者のための全国各地の民間シェルターの運営や、当事者の直接支援に関わる団体の全国ネットワークであるNPO法人全国女性シェルターネットが、1998年から毎年、全国各地で開いているシンポジウムです。大阪での開催は2002年以来の2回目でした。
私が初めて全国シェルターシンポジウムに参加したのは2002年の大阪大会でした。DV防止法が全面施行された年のことです。全国から集まったDV被害者を支援する大勢の女性達の熱気に圧倒され、これからの日本社会を変えていくのはここに集まっている女性達だと、女性のパワーを実感させられた、とても印象に残るものでした。そして、その後も、女性達のパワーに触れつつ、DVに関する自己研さんに努めようと、何度か全国各地のシンポジウムに参加してきました。
今回のシンポジウムの全体テーマは、「女(わたし)のからだは女(わたし)のものDV・性暴力救援センターを全国に!〜とりもどそう性の自己決定権〜」でした。そして、光栄にも、私は大勢の参加者を前に基調講演をさせていただき、またパネルディスカッションにも参加する機会に恵まれました。
私に与えられた基調講演の演題は、「性暴力被害者への法的支援の現状と課題」でした。2010年4月に日本で初めて大阪でスタートした「性暴力救援センター・大阪」(通称:SACHICO)での弁護士としての法的支援の経験から、わが国が抱える性暴力に関する法的課題がより鮮明になってきています。そのことを具体的な事例や実践、また最近の判例の状況を紹介するなどし、お話をさせていただきました。
強かん罪規定をはじめとする性犯罪関連の法の見直しや、被害者のためのワンストップ支援センターの全国各地での設置が望まれるところです。2日間で延べ1500人が参加したシンポジウムでしたが、会場いっぱいの聴衆が、熱心に聞き入ってくださいました。「性暴力救援センター・大阪」のような24時間体制の支援員によるホットライン、産婦人科医による診療、性暴力の証拠採取、心理的ケア、カウンセリング、弁護士の紹介、警察への通報や同行支援などの支援を提供する性暴力被害者のためのセンターが、全国各地に必ずや広がっていくであろうと確信しました(東京、札幌などでスタートしています)。また、来賓として参加された内閣府や厚生労働省・文部科学省の方々には、是非、本気で取り組んでいってほしいものです。
【全国の自治体で「DV根絶宣言」を】
シンポジウム2日目は、午前に8つ、午後に9つの分科会に分かれての議論でした。今回のシンポジウムには、事務所員が裏方スタッフとしても協力し、また分科会にも参加して勉強しました。分科会のテーマは、「別居・離婚後の子の監護(面会交流や共同監護)」「DV被害女性と居住の権利」「外国籍女性と性暴力」「暴力の連鎖を断つ」「災害と女性への暴力」「当事者が語る性暴力被害」「セクシュアル・マイノリティと性暴力」「女性と子どもへの平行支援」「デートDV被害者の安心安全をめざして」「女性への暴力根絶と被害者支援にかかわる法整備」などです。事務所では、各事務所員が分科会で学んだことを事務所全体で報告し、皆で共有する機会を持ちました。
最後に。シンポジウムの開会セレモニーで、開催地である阪南市の市長が「阪南市DV根絶宣言」を発表し、会場から温かい拍手に包まれました。全国津々浦々の地方自治体で、「DV根絶宣言」が出されるようになれば、行政の施策はずっと良くなるのではないでしょうか。