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2013年01月03日
DV世界の女性
乘井 弥生

アメリカのワンストップ・センターを見学してきました  弁護士 乘井 弥生

【被害者のための総合的支援を一つの場所で】

女性が暴力から逃れ、安全と安心の確保された生活を始めようとするとき、たくさんの解決すべき課題が一挙に立ち塞がります。例えばDV被害者の場合、保護命令の申立てや離婚といった法的手続き、警察への相談や届出、転居、生活の糧を確保することなど、どれもストレスのかかる作業であり、しかも、手続きや支援を受けるため、関連する機関を回らなければなりません。被害者が背負うこの困難さはDV被害の場合だけではありません。性暴力被害の場合も同様です。

被害者として受けるべきサポートは、医療や告訴、賠償の手続等ケースによっていろいろですが、複数の関連機関を移動し、行く場所行く場所で、繰り返し事情の説明をしなければならないことは大きな負担となります。ましてや、被害者は心身に傷を負った状態ですからなおさらです。被害者のための総合的な支援を一つの場所でおこなうために作られたもの、それが、いわゆるワンストップ・センターと言われるものです。

昨年10月、アメリカ旅行中にある地方都市のワンストップ・センターを見学する機会がありましたので、ご紹介します。中西部ニューメキシコ州最大の都市アルバカーキにあるアルバカーキ・ファミリー・アドボカシー・センターです。DV被害、性暴力被害、そして性虐待を受けた子どものためのワンストップ・センターでした。パンフレットには、冒頭、「暴力と虐待を止めるという一つの使命(目的)のための13の機関(265人)」と書かれています。

実際、建物を見学させてもらうと、大きな建物の一つのフロアに各機関の部屋(詰所)が並んでいました。性暴力被害者のための緊急対応の部屋、クリニック、子どもに対する性虐待に対応する機関、DV被害者の支援組織、犯罪被害者補償金を被う機関、リーガルエイド、そして、裁判所のDV部局、警察までがありました。

 

【被害者の負担の軽減をはかる配慮】

日本であまり見ることのない部屋として、被害者に対するインタビューの部屋を見せてもらいました。例えば、性暴力の被害者が被害の状況につきインタビューを受けるとき、関連する多くの人に囲まれて話をするのはそのことだけで辛いことです。そこで、訓練を受けた専門家が被害者にインタビューをします。そして、隣室で関連部門の人がモニターでその様子を見ながら、必要に応じて「この点をもっと詳しく聞いてください」といった指示をイヤホンでおこない、被害者の負担の軽減をはかるとのことでした。

そのほか、フロアには、被害者の休憩のための部屋やすぐに使える衣服や軽食の保管室、ボランティアによって用意された子どもの心を和らげるためのグッズなどもあり、隅々に細かな配慮を感じました。

ちなみに、アルバカーキ・ファミリー・アドボカシー・センターは、市とユナイテッド・ウェイ(市民や企業から寄付金を募り社会福祉施設やNPOに配分する全米最大の団体)の協力関係で作られたということであり、ここに日本とは異なる米国の特色があります。ただ、社会的な仕組みの違いはあれ、関連する機関が有機的・効果的に繋がることで、被害者の負担を軽減することが大事であること、そのことがひいては暴力や虐待のない社会を作るんだということを改めて認識しました。

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