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2013年01月03日
子ども面会・養育費
宮地 光子

面会交流と子どもの意思   弁護士 宮地 光子

【面会交流を拒む気持ちを無視された子どもたちは】

「子どもが嫌って言ったら、会わせなくっていいんですよね?」

面会交流をめぐる調停事件を担当することになったとき、答に困るのが、この質問です。「もちろんです」と言ってあげたいのに、そう言えない現実があるからです。

夫のモラルハラスメントを離婚理由として主張していたAさんの件で、最も苦労したのは、夫が申立てた面会交流調停事件でした。当時、小学5年生、2年生だった息子たちは、家庭裁判所の調査官に対して、父親に対する嫌な思い出を語り、はっきりと「お父さんとは会いたくない」とその気持ちを伝えました。

しかし調査官の報告書は、「未成年者2人は、父と会いたくない旨の意向を述べている。しかし父との交流が未成年らに大きな恐怖や不安を与えると考えられる事情はなく、未成年者らにとって最も親和する存在である母への配慮等の複雑な感情が影響していると考えられる」と子どもらの意思を解釈し、面会交流の実施を肯定するものでした。この調査官報告を受けて出された家裁の審判は、第三者立ち会いを条件に母に年3回の面会交流を命じました。

ところがこの審判の結論に息子たちは、自分たちが裁判所に言ったことが認められなかったとショックを受け、長男は完治していたはずの喘息発作を起こし、次男は腹痛を訴え続けるようになり、3ケ月後には十二指腸潰瘍で入院することになってしまいました。

子どもたちの状況を裁判所に伝えて、何とか再考してもらおうと抗告の手続きをとりました。抗告審では、子どもの十二指腸潰瘍・気管支喘息のいずれの発症についても、ストレスが影響していると考えられることを医学文献で裏付け、そのストレスの原因は、子どもたちの発症の経緯からして、面会交流を命じた審判以外に考えられないことを主張しました。

しかし抗告審の決定でも、高等裁判所は、年3回の面会交流を命じた家裁の結論を支持しました。その理由のひとつとされたのが「未成者らの父との交流を拒否する態度は、真に父を恐れ、その感情をそのまま表していると認めることはできない」ということでした。

 

【「子どものための面会交流」という視点に立った判断を】

このケースは、最終的には、父親が直接的な面会交流の実施を断念し、近況報告と写真を送る間接的な面会交流に留めることで和解が成立したので、何とか事態を収めることができました。しかし、子どもの意思を尊重しない裁判所の対応には、他の案件でも、何度も悩まされました。

昨年3月に「日本DV防止・情報センター」が発行した「別居親と子どもの面会交流に関する調査報告書」の中でも、父との面会交流を拒否すると裁判所に言っていたのに、それを認めてもらえなかった11歳の子どもの生の声が収められています。彼女は「1回も私の気持ちを、裁判所なんか全然聞き入れてくれなくって。……大人の意見ばっかり採用している感じだから、ちゃんと子どものことも考えて」と訴えています。

そしてこの調査報告書は、最後に「子どものための面会交流と『面会に関する子ども支援プログラム』」を提案していますが、その中で、「子どもの確固とした拒否がないこと」を、面会交流を実施するにあたっての条件のひとつにしています。そして「子どもの面会拒否は『同居する監護親への遠慮』であるなどと単純化してはならない」と指摘しています。

裁判所こそ、このような提案に耳を傾け、「子どものための面会交流」という視点に立った判断をして欲しいものだと思います。

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