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2012年08月30日
平和・人権
乘井 弥生

事件発生から17年、再審の重い扉が開かれた日  弁護士 乘井 弥生

【「負けずに闘ってきて良かった」】

「主文 請求人ら両名について、それぞれ再審を開始する。」

大阪市東住吉区の民家で95年、女児が亡くなり、放火殺人等の罪で母親と内縁の夫に無期懲役の有罪判決がなされ確定した事件(いわゆる東住吉事件)で、3月7日、大阪地裁15刑事部は再審を開始するとの決定を出しました。事件発生から実に17年、無実を訴え続けていた再審請求人(青木さん、朴さん)にとっても、また、2人の無実を信じ活動を続けてきた弁護団、支援者にとっても、司法が信頼に足るものであることを実感できた日でした。

3月7日午前10時に決定書が渡されることの告知を前月末に受け、弁護団メンバーの当日の分担や行動予定の作成、支援の会や司法記者クラブとの情報共有など、慌ただしく準備が進められました。

確定判決の有罪認定を支える証拠は取調室という密室で作られた自白しかありません。真の火災原因を究明し、自白に基づく犯行行為は不自然、不合理であることを弁護団は立証し尽くしたとの自信がありましたが、それでも、裁判所の最終判断は蓋を開けてみないとわからない、そんな期待と不安の入り交じった気持ちで時計の針が10時を刻むのを待ちました。受け取った分厚い決定書の2頁目をめくり、冒頭の文字が目に飛び込んできたときは、喜びというよりもホッとした気持ちでした。

主文を見たあと、裁判所正面で結果を持つ支援者、報道陣に報告する役割のメンバーは垂れ幕を持って急ぎ足で移動。一方、11時開始予定の記者会見に向けて、決定言を速読し、弁護団声明を作成するメンバーは裁判所近くの弁護士事務所に直行。その間に、和歌山刑務所、大分刑務所の待合室で本人への報告のためスタンバイするメンバーへ、携帯電話で喜びの一報を入れました。「これまでの不安が喜びに変わり、涙があふれて止まらない。何度も裁判官たちに裏切られ、悔しい思いをしてきたが、負けずに闘ってきて良かった。これで娘も浮かばれます」。これは和歌山刑務所で受刑中の青木さんが弁護人に託したコメントです。

 

【最後まで気を抜くことなくやりきろう】

さて、開始決定が出された後の3月12日、検察官は即時抗告を申立て、審理の舞台は大阪高裁に移っています。有罪の事実認定の根拠となった白白の信用性が科学的な証拠によって完全に瓦解したにもかかわらず、なおも訴追を維持するのは検察のメンツを守るためとしか思えません。

また、大阪地裁15刑事部は、3月29日、受刑中の青木さん、朴さんに対し、「刑の執行を停止する」との決定を出しましたが、これについても検察は抗告をおこない、釈放指揮が実行されようとするその朝に大阪高裁が刑の執行停止決定を取り消したため、弁護側が最高裁に特別抗告。現在、最高裁の判断を持つ状態にあります。

3月7日、再審の重い扉をやっとこじ開けました。無罪確定を勝ち取るまで、まだ時間はかかりそうですが、最後まで気を抜くことなくやりきろうと、弁護団一同、気持ちを新たにしています。

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